聖火リレー、自慢の絶景を世界に 五十嵐さん、三島の魅力PR

 
JR只見線を望む展望台で聖火を手にする五十嵐さん=三島町(代表撮影)

 浜通りから中通り、会津へと県内を横断した26日の聖火リレー。ランナーたちが海や山など雄大な自然や歴史ある町並みの中を爽やかに駆け抜け、本県の魅力を存分にアピールした。

 トーチの重さをかみしめながら自慢の絶景スポットを走った。「全世界に三島を発信できたはず」。三島町の第1只見川橋梁(きょうりょう)展望台を担当した五十嵐望さん(15)=三島中3年=は大役を終え、自身をここまで育ててくれた大自然に感謝した。

 育った同町大谷地区では唯一の中学生。三島中の今年の卒業生も五十嵐さんを含め5人のみだった。小さい時から高齢者と触れ合う機会は多かったが、高齢化が進み、最近は町の中が寂しく見えた。

 さらに東日本大震災で、会津は直接的な被害は少ない一方、風評被害と闘う日が続いた。五十嵐さんの家族も兼業でコメを栽培しており「県産品だからという理由で買い手が遠のくことを家族から聞いていた」。そんな時に町に聖火リレーが来ることを知り、「町を盛り上げるきっかけにしたい」とランナーに志願した。

 「三島で一番景色が良い場所」と胸を張る展望台は、何度も訪れたことのあるお気に入りの場所。担当区間は場所が狭いことなどから、走者は五十嵐さんのみで、沿道からの声援もなかった。

 思い描いた聖火リレーとは少し違った。それでも「そのような区間を任されたのは貴重な経験」と前向きに考え、育ってきた古里を巡るリレーの火を次のランナーにつなぐという思いは忘れなかった。

 本番ではトーチを手に木の階段をゆっくりと上り、ゴール地点の展望台に到着すると、JR只見線に架かる橋を列車が通過。絶景と聖火ランナーが「一つの絵」になる貴重な姿を世界に届けた。ゴールには、母幸子さん(48)、父修一さん(57)、姉梓さん(22)の姿があった。緊張感から解放されてようやく肩の荷が下りた。

 卒業後は喜多方市の高校に進学する。「これからも三島の良さを発信し続けたい」。大好きな古里の自然を見つめ、そう誓った。

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