箱根駅伝、学石卒「同級生」2人が8区激走 最後の舞台、共に全力

 
(写真左)懸命にスパートする中大8区の中沢=戸塚中継所(写真右)8区を力走し、たすきを渡す東京国際大の宗像(左)

 3日行われた箱根駅伝の復路には学法石川高でかつて仲間として競い合い、全国高校駅伝で3位表彰台も経験した2選手が同じ8区に出走した。最終学年に成長し、共に3年連続となる箱根の大舞台に立った2人。逆転優勝やシード権の確保を目指し、最後まで懸命に力を振り絞った。

 中沢、現役最後の「全力」 中大2位に貢献

 「総合3位以内を目標に練習してきた。ふがいない部分もあったが、自分のベストを尽くすことができた」。3度目となる箱根路に挑んだ中大の中沢雄大(4年、学法石川高卒)は、区間7位の力走で、チームの総合2位と22年ぶりとなる表彰台に貢献した。

 前を走る駒大と44秒差の2位でたすきを受けた。序盤は落ち着いたペースで走り、後半、徐々にペースを上げた。一時は先頭との差を縮めたが、「15キロ付近までは想定通りの走りができたが、残り5キロで距離を詰め切れなかった。自分の弱さが出た」。最後は先頭に再び差をつけられたが、好位をキープしたまま次の走者にたすきを託した。

 中沢は、8区で区間3位と好走した昨年の箱根駅伝直後、大学で陸上競技を引退することを決めた。

 現役最後となるこの1年間は、中大として出場する駅伝で結果を残したいと、マラソンへの挑戦などロードに注力。総合優勝の夢はかなわなかったが、中沢は「自分がやってきたことは間違いではなかった。強くなっていくチームの一員になれて良かった」と笑顔を見せた。

 卒業後は、地元石川町に近い、須賀川市役所への就職が決まっている。「今後はたくさん応援してくれた福島の人たちに恩返ししていきたい。選手ではなく、子どもたちへの指導などを通じて陸上にも携わりたい」と新たな目標を掲げた。(八巻雪乃)

 宗像無念、主将の重圧 東国大で急成長の4年

 主将として臨んだ最後の箱根は満足のいくものとはならなかった。東京国際大の宗像聖(4年、学法石川高卒)は「情けない走りをして申し訳ない」とうなだれた。

 「調子は良かった」という宗像。11位でたすきを受けたが、10キロ以降の上りで徐々に表情はゆがみ、順位を一つ落とした。個人記録は区間19位。レース後は膝から崩れ落ち、しばらく顔を上げられなかった。

 平田村出身で、高校進学後に本格的に競技を始めた。東京国際大に入った2019年当時、チームはまだシード権獲得経験もない新興勢力。21年から副主将、主将を歴任し、21年の出雲駅伝では初出場初優勝の快挙を遂げるなど急成長するチームをけん引し続けた。

 「練習の質や量は1年目の比にならず、結果に対する意欲も変わった。結果が残せなかったことは悔しいが、この進路を選んで良かった」と振り返る。卒業後は実業団の三菱重工に進むといい、「まずはフルマラソンで2時間10分を切りたい」と力強く語った。(斉藤隼人)

おすすめPickup!ニュースの『玉手箱』

過密日程でも「攻撃の質上げる」 いわきFC、28日アウェーで栃木戦