山の神・今井正人「晴れやかな気持ち」 南相馬出身、有終レース

 
引退レースを終えて、胴上げされる今井正人=福岡市海の中道海浜公園

 陸上を始めて24年。「山の神」と呼ばれた名ランナーがシューズを脱いだ。福岡市で25日に開かれた日本選手権クロスカントリーで現役を引退した南相馬市小高区出身の今井正人(39)=トヨタ自動車九州、原町高卒。レースを終えると、観衆に向かって深々と頭を下げ「重たい走りになったが、皆さんの声援でゴールまで背中を押してもらった」と感謝の思いがあふれた。

 最後のレースに選んだのはマラソンではなく起伏あるコースを走るクロスカントリーの男子10キロだった。

 「高校時代にクロスカントリーで体をつくり、走りを磨いてきた部分もあるので、最後にこういうレースで終えることも大事だと思った」。実業団に入ってからは度重なるけがと向き合い、コースのように「山あり谷あり」の競技生活を送った今井らしい選択だった。

 この日、坂道では苦労のにじんだ顔で食いしばりながら、力強く駆け上がる姿があった。結果は44位。今井は「名残惜しくて、だいぶ長く走ってしまった。これだけ幸せな場所で走らせてもらい、晴れやかな気持ちで終えられた」と言葉を詰まらせた。

 今後は所属先で指導者の道に進む。「伴走者として一緒に悩んで考えて、悔しがれるようなそういう存在になれたら」。新たなステージで高い山が立ちはだかろうとも、今井はきっとまた立ち向かっていくはずだ。(佐藤智哉)

 両親、ファン盛大な拍手

 「ありがとう今井。お疲れさま」。コースの沿道では、今井の家族や応援団、陸上ファンらの声援が途切れることなく響き渡り、ラストランを後押しした。

 南相馬市から最後の雄姿を見届けに来た「南相馬市今井正人応援団」の江本節子さん(77)は「ラストランを楽しんでいる様子があって感無量だ。これから先、指導者として力を発揮してもらいたい」とねぎらった。

 茨城県ひたちなか市で暮らす両親も駆け付けた。父一秀さん(74)と母節子さん(73)は「やり切った顔でゴールしていた。皆さんに盛大に拍手で送られて、幸せな競技人生だったと思う」と語った。

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