高校の恩師「近内の活躍楽しみ」 25日・ウエイト出場

 
近内の五輪での活躍を楽しみにする鈴木さん(右)=福島市・福島明成高

 ウエイトリフティング男子67キロ級の近内三孝(日大職、田村高卒)は25日、東京五輪の舞台に立つ。「本番を楽しんでほしい」。近内を見いだした高校時代の恩師、鈴木宗徹さん(福島明成高教)は教え子の活躍を楽しみに待つ。

 10年前の出会いを今もはっきり覚えている。体験入部で強豪田村高陸上部のレベルの高さに圧倒された近内を、担任教諭がウエイトリフティング部に連れてきたことが出会いだった。ほかの選手を指導中だった鈴木さんは、初心者にもかかわらず上手にバーを操る近内の姿に目を見張った。「君はすごい選手になれる。努力しよう」と肩をたたいた。

 下半身のばねと重いバーを操る瞬発力。近内は水を得た魚のように競技に熱中した。学年ごとの目標を設定させ、それを達成するために何が必要か、練習方法も考えるよう求めた。

 近内は実力をめきめき伸ばし1年時に全国大会で入賞すると、3年時にはインターハイと国体の2冠を達成した。

 栃木県出身の鈴木さんは、国体開催を控えた1991(平成3)年に同競技の国体要員として福島にやってきた。地元の教員採用試験に落ちたこともあり、ひとまずの就職先のはずだった。95年の国体本番はぎっくり腰で出場できず、少年の部のコーチを務めた。失意のまま栃木に戻ろうとした時、所属先の上司に県内での指導者の道を勧められた。採用試験で28歳になっていた鈴木はこう宣言した。「ウエイトリフティングで福島県から五輪選手を出します」

 52歳の今も指導の熱は変わらない。モットーは楽しんで試合をすることだ。進学、就職を経て五輪代表入りした近内に「時間はかかったけれどようやく夢をかなえることができた」と頬を緩ませる。五輪での「日本新記録更新とメダルの獲得」を目標に掲げる頼もしい教え子が、恩師の夢も背負って本番を迎える。

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