富岡町、帰還居住区域案を国に申請へ

 

 富岡町は、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域の小良ケ浜、深谷の両地区の約48%に当たる約220ヘクタールを避難指示解除と住民居住が可能になる「特定帰還居住区域」に設定する復興再生計画案をまとめた。町は近く、県の同意を得た上で国に計画を申請する。国の認定を経て4月から除染やインフラ復旧などが始まる見通し。町は26日、町議会全員協議会で計画案を示し、了承を得た。

 町の特定帰還居住区域案は【図】の通り。帰還困難区域は約460ヘクタールで、大部分が小良ケ浜、深谷の両地区が占める。今回の220ヘクタールには隣接する新夜ノ森地区の一部も含まれた。計画案では集落内の面的な除染を基本とし、帰還意向のある住民の生活圏を幅広く捉えて宅地周辺を除染する。またインフラ復旧のため道路を優先した除染を実施していく。今後もさらに計画を修正し、特定帰還居住区域を広げていく。

 計画期間は2029年12月末までで、除染や建物解体を進め、インフラ復旧・整備を実施。帰還住民が利用する集会所や消防施設を再整備し、農業水利施設の復旧・整備にも着手する。町が想定するインフラ復旧のスケジュールは、道路や電気、ガスは26年度、上水道や下水道は最長で27年度などで、関係者との協議を踏まえて着手していく。

 町としては目標とする避難指示解除時期は明言を避けた。一方、インフラが整い、放射線量が十分に低下したところは解除前に準備宿泊を実施するという。町議から「解除時期を示さないと、避難している町民の心が持たない」「解除時期などの目標値を持って進めてほしい」と要望があった。

 山本育男町長は「現段階の計画案は十分ではないと承知している。まずは住民の早期帰還に向け国への申請を進める。一分でも一秒でも早く解除し、住民が帰還できるようにしたい」と語った。