「路線便輸送」3町再開 富岡経由...大熊、双葉、浪江1日から

 

 企業が利用する荷物の輸送サービス「路線便輸送」の一部が4月1日、大熊、双葉、浪江の3町で再開する。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で休止していたが、輸送インフラの充実によるさらなる復興、産業振興が期待される。

 路線便輸送は宅配便対象外の荷物や、トラックをチャーターするほどでもない量の荷物を運ぶ際などに利用される。路線便事業者が最終配達先の最寄りの拠点まで配送し、拠点から配達先までは地元運送業者などが担当する。他社と相乗りで荷物を運ぶため、費用を抑えられる利点がある。

 路線便輸送が停止した震災後、双葉郡内の企業は、いわき市などにある路線便事業者の配送拠点に直接取りに行くか、再配送を依頼するなどの対応が必要だった。広野、楢葉、富岡の3町は路線便輸送が回復したが他の自治体からも再開を求める声が上がっていた。

 大熊、双葉、浪江の3町での再開は、経済産業省や郡山運送(郡山市)のいわき営業所、宮田運輸(大阪府)が富岡町に置く福島事業所が連携して実現。複数の路線便事業者が郡山運送に荷物を集約し、宮田運輸福島事業所を経由して届ける。3町の企業から荷物を発送する場合は逆のルートとなる。

 企業進出、まず物流

 郡山運送いわき営業所の竹内誠所長(45)は、路線便再開の採算は取れないと明かすが「まずは双葉郡の復興への思いが強い。企業や人が集まる流れに貢献できれば」、宮田運輸企画開発室の建野成恒室長(48)は「物流インフラが整っていないため企業が進出しにくい現状もある。物流から課題解決の後押しをしたい」と語った。