産地再生へ一歩 浪江・大堀相馬焼陶吉郎窯、工房と店舗お披露目
浪江町大堀地区に戻って産地再建を目指す大堀相馬焼陶吉郎窯は15日、同地区で竣工(しゅんこう)式を行い、関係者に建設した工房と店舗をお披露目した。
約20人が出席した。関係者が玉串をささげ、吉田栄光浪江町長が「産地再生に向けた重要な一歩になると確信している」と祝辞を述べ、当主で陶芸家の近藤学さん(70)が「施設と設備を活用し、産地形成という大きな目標に向かって頑張っていく」と決意を披露した。式後、近藤さんが関係者に工房と店舗を案内した。
陶吉郎窯は原発事故後、拠点をいわき市四倉町に移して制作活動を続けている。陶芸の命ともいえる土は原発事故の影響で使えなくなっているのが現状で、現在は他産地の土で代用しているという。「土は代用できるが、土地は代用できない」と近藤さんは大堀での伝統継承に強い思いを抱く。
新たな工房と店舗は1月末に完成し、工房では2月から作陶を始めた。現在は6月の店舗オープンに向けて準備を進めている。近藤さんは「大堀相馬焼のファンをより多くつくれるような作品構成を考えたい」と地元に唯一戻ってきた窯元として覚悟を示した。
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