「The Story Of The Three Little Pigs」(3びきのコブタ)―vol.15

 
再話:ジョセフ・ジェイコブス 日本語:ラボ教育センター 絵:梶山俊夫 吹込:牛込安子、バーナー・C・ビッキリー 音楽:フランク・ベッカー ラボ教育センター(ラボ出版) 価格:2,420円

 いよいよ夏本番! 今月お届けするお話は、イギリスのジョセフ・ジェイコブスの再話によるイギリス昔話『The Story Of The Three Little Pigs(3びきのコブタ)』です。

 かあさんブタは、3匹のコブタたちにたっぷり食べさせられないという理由から、「自分で暮らしを立てるように」と言いつけることから物語は始まります。1番先に家を出たコブタはわらで、2番目のコブタはハリエニシダ(トゲのあるヨーロッパ原産の低木)で家を建てます。すると1匹のオオカミがそれぞれの家にやってきて、コブタたちと次のようなやりとりをします。

 Little pig, little pig, let me come in.

 (おい、おい、コブタ、なかへ入れろ)

 No, no, by the hair of my chiny chin chin.

 (だめだめ、ぼくのあごチンタンのひげがいやだといってる)

 Then I'll huff, and I'll puff, and I'll blow your house in.

 (それじゃ、フフゥのフゥ、フフゥのフゥと、おまえのうちを吹きたおしてしまうぞ)

 そしてオオカミはそれぞれの家を吹き倒し、2匹のコブタをたいらげてしまいます。3番目のコブタがレンガの家を建てると例のオオカミが来て、フフゥのフゥと何度も吹きますが、今度はビクともしません。

 さあ、ここからがコブタとオオカミの知恵比べ。オオカミは、カブ畑やリンゴ狩り、そして市場へとコブタを誘います。さてさて、最後はどうなるでしょう? 自分たちで苦難を何とか乗り越えようとするコブタたちの、たくましくも力強い姿が、子どもに勇気を与えます。失敗してもがんばれば乗り越えられるのだという昔話のメッセージが、現代の子どもの心をも引きつけるのでしょう。

 オオカミとコブタとのやりとりは、昔話の特徴であるくり返しとなっていて、英語のリズムが心地よく、いつの間にか口から発せられます。梶山俊夫氏により描かれたモノクロのイラストからは、昔話の骨太さと、イギリスの素朴な田園風景を感じることができます。ぜひお楽しみください。

 ラボ・パーティ講師 佐藤暁子 福島市出身、在住。絵本を通して英語力・社会力・コミュニケーション力を育てる「ラボ・パーティ」(本部・東京)の教室「ラボ佐藤パーティ」を2001年開講。趣味は舞台鑑賞。ラボ国際交流ボランティアリーダー。県内にラボ・パーティは17カ所あります。

2022年8月号・Me&Youより