JUGEM(じゅげむ)From Rakugo―vol.18
秋も深まり月がきれいな季節となりました。今月は有名な落語のお話『JUGEM From Rakugo じゅげむ』をお届けします。
我が子の誕生を心待ちにしていた亭主の元に、玉のような男の子が誕生。生後7日目、子どもの名前をつけるお七夜の日に、亭主は檀那(だんな)寺の和尚さんに立派な名前をお願いします。すると和尚さんは「寿限り無し」と書いて「寿限無(じゅげむ)」と提案したところ、亭主は大変気に入ります。他にも15もの候補を出してくれた和尚さんは、この中から選ぶよう言いますが、どれもいい意味があり亭主は一つに絞れません。「えいっ、いっそぜんぶつけちまえ」と全部の名前をつけることに!
「寿限無寿限無、五劫(ごこう)のすりきり海砂利水魚の水行末、雲来末風来末、食う寝るところに住むところ......」
(Jugem, JugemFive Zillion Years of Wear and Tear,Beach Pebbles, Sea Fish,Water Here, Clouds There, Winds EverywhereA Place for Eating, SleepingA Place to Make a Living...)
やがてやんちゃに成長した寿限無はけんかをし、友だちの頭に大きなこぶを作ってしまいます。友だちは泣きながら寿限無のお母さんに言い付けにきますが、寿限無の名前を言うのにあまりにも長い時間がかかってしまい、そのうちに...。
『寿限無』は有名な古典落語の一つです。落語は日本の伝統話芸であり、リズミカルな日本語で語られます。この『寿限無』は子どもが登場するからでしょうか、幼い子どもにも人気があります。その落語に題材を求め、韻を踏むなど音のリズムを大切にしながら英語に訳したのが、今回紹介するこの絵本です。笑いやユーモアは人と人を繋ぐ要素があり、落語という日本のユーモア文化も海外に伝えていきたいものです。
英語の語りはお笑い芸人のパックンことパトリック・ハーラン氏。日本語は落語家の林家いっ平(現・三平)氏と林家鉄平氏の巧妙な掛け合いとなっています。どうぞ英語と日本語で落語をお楽しみください。
ラボ・パーティ講師 佐藤暁子 福島市出身、在住。絵本を通して英語力・社会力・コミュニケーション力を育てる「ラボ・パーティ」(本部・東京)の教室「ラボ佐藤パーティ」を2001年開講。趣味は舞台鑑賞。ラボ国際交流ボランティアリーダー。県内にラボ・パーティは17カ所あります。
2022年11月号・Me&Youより
- 「CHOO CHOO THE STORY OF A LITTLE ENGINE WHO RAN AWAY」(いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう) ―vol.22(最終回)
- 「The Vixen Who Found a Bark Sandal」( わらじをひろったきつね) ―vol.21
- 「GUESS HOW MUCH I LOVE YOU」(どんなにきみがすきだかあててごらん) ―vol.20
- 「Olle's Ski Trip」(ウッレと冬の森) ―vol.19
- JUGEM(じゅげむ)From Rakugo―vol.18
- PETUNIA(がちょうのペチューニア)―vol.17
- MOMOTARO The Boy Born from a Peach(ももたろう)―vol.16
- 「The Story Of The Three Little Pigs」(3びきのコブタ)―vol.15
- 「London Bridge Is Falling Down!」(ロンドン橋が おっこちる!) ―vol.14
- 「Over in the MEADOW」(おおきな のはら) ―vol.13