「オオムラサキと里山の一年 夏の雑木林にかがやく、日本の国蝶」 自然の中、チョウの一生

 
小学館 1430円

 「ツノが2本、かわいい!」と思わず言ってしまう表紙の写真。日本を代表するチョウ「国蝶(こくちょう)」オオムラサキの幼虫(ようちゅう)です。成虫は、羽を広げると10センチにもなる大型(おおがた)のチョウ。オスには輝(かがや)くような美しい紺色(こんいろ)の羽があります。メスには青い羽はありませんが、体がオスより一回り大きく、飛ぶ姿は迫力(はくりょく)満点です。

 6月から7月、ばさっばさっ!と大きな羽音をたて雑木林(ぞうきばやし)の樹液(じゅえき)を吸(す)いにオオムラサキが集まってきます。チョウの姿(すがた)の2カ月の間にオスとメスが出会い、メスはエノキという木の葉っぱに卵(たまご)を産みつけます。卵から孵化(ふか)した幼虫は5回の脱皮(だっぴ)の後、さなぎになりチョウになるのですが、幼虫の間は天敵(てんてき)に襲(おそ)われやすく、寒い冬も耐(た)えなければなりません。

 長い間、人間の手によって維持(いじ)されてきた里山の自然の中で、1年間を生きぬくオオムラサキの一生を観察した写真絵本です。里山が減少(げんしょう)している今、里山を守ることがオオムラサキを守ることにつながるのです。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています