「エリザとさくらのものがたり」 困難越え、アメリカへ桜

 
少年写真新聞社 1760円

 桜(さくら)は日本を代表する花です。桜にまつわる話はたくさんありますが、今週紹介(しょうかい)する本は実際(じっさい)にあった出来事を絵本にしたものです。

 今から140年前、アメリカ人女性(じょせい)のエリザ・シドモアは初めて日本を訪(おとず)れました。エリザは日本各地を旅し、人々の暮(く)らしの様子や自然にふれ、深く感動しました。中でも満開の桜に強くひかれ、首都ワシントンDCのポトマック河畔(かはん)に日本の桜を植えたいと考えました。日本とアメリカの友好にもなると思ったのです。しかし、さまざまな困難(こんなん)があり、実現(じつげん)するまでには、たくさんの人たちの支(ささ)えと長い時が必要だったのでした。

 エリザのあきらめない行動が、今もポトマック河畔で美しい花を咲(さ)かせていることに心動かされます。春らしい色合いで伸(の)びやかに描(か)かれた絵が物語をさらに引き立て、春のこの時期、読み聞かせにもお薦(すす)めです。本の最後には"へえ~"と驚(おどろ)くエピソードが紹介(しょうかい)されていますよ。(藤)

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています