「希望のひとしずく」 誰かの幸せ願う心...広がる

 
理論社 1980円

 あなたの願い、夢(ゆめ)や希望はなんですか? 私(わたし)たちは、自分や自分以外の誰(だれ)かの幸せのために大小さまざまな願いを持ち、それらがいつかかなうことを信じて、昔から月や星などの自然界に手を合わせて願ったり、神社などへ参拝(さんぱい)しながら時を過(す)ごしてきました。

 物語の舞台(ぶたい)は、「残念な町」と呼(よ)ばれるほど何もないオハイオ州の小さな町。生活環境(かんきょう)も個性(こせい)も悩(なや)みも違(ちが)う中学1年のライアン、アーネスト、リジーの3人は、学校の授業(じゅぎょう)で"伝承(でんしょう)"について話し合う中、地域(ちいき)に伝わる"願いをかなえるトンプキンス井戸"の存在(そんざい)を知る。3人は井戸を探(さが)そうと自然保護(ほご)区の森に入り、足元に古いコインを見つける。その時、頭上の古板越(ご)しにクラスメートの声を聞く。井戸の底で偶然(ぐうぜん)にも願い事を聞いた3人は...。

 友達や家族、町の住人など、周りの誰かの幸せを願う気持ちを行動に変えていく姿(すがた)や、そこから生まれる思いやりや優(やさ)しさの連鎖(れんさ)を描(えが)いた心温まる物語。高学年から。(瓶)

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています