「おはなしサイエンス AI(人工知能) ロボットは泣くのか?」 AIの疑問、物語で考える

 
講談社 1540円

 小学6年生の佐々木新は、父と2人暮(ぐ)らし。でも「ピコ」という手のひらサイズのロボットのおかげで留守番(るすばん)は寂(さび)しくない。AI搭載(とうさい)のピコは常(つね)に学習して、コミュニケーションの内容(ないよう)が日々進化して会話が楽しいのだ。

 ある日、新はディベートの授業(じゅぎょう)で「AIは必要か」というテーマの肯定派(こうていは)に選ばれる。メンバー3人で相談し、AIを使った義手(ぎしゅ)やネット通信の便利さなどの利点を発表したのだが、否定(ひてい)派も失業問題や依存症(いぞんしょう)などAIが抱(かか)える課題を鋭(するど)く指摘(してき)し、甲乙(こうおつ)付け難(がた)い勝負になる。

 現代(げんだい)の生活に欠かすことのできないAI。でも、もしAI自身がプログラミングを進化させ続けたら...? 私(わたし)たちが漠然(ばくぜん)と抱(かか)えるAIの疑問(ぎもん)を、ディベートの中で分かりやすくまとめています。AIの技術(ぎじゅつ)はまさに「諸刃(もろは)の剣(つるぎ)」。どんなに科学技術が発達しても、"自分で考える"ことが大切だと感じさせられます。最先端(さいせんたん)の科学を物語仕立てで説明している『お話サイエンスシリーズ』の一冊(いっさつ)。高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています