「Fukushima50」リレーメッセージ(8)佐藤浩市さん

 
 さとう・こういち 東京都出身。映画初出演の「青春の門」(1981年)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。「忠臣蔵外伝 四谷怪談」(94年)「64―ロクヨン―前編」(2016年)で同賞最優秀主演男優賞を受賞した。

 地元出身者の役なので「古里を思う気持ち」を大切にしました。家族や古里のためという思いが一番に伝わるよう演じたつもりです。

 セットの関係で順撮り(台本順に撮影)だったので、俳優陣にはありがたかったですね。5日間の出来事を2週間以上かけて撮りましたから、シーンを重ねるたびに自然と気持ちが入ります。実際に中操(中央制御室)にいた方々の気持ちに、少しでも近づけたのではないでしょうか。

 専門用語もたくさん飛び交いますから、撮影前は中操チームで集まって物理の勉強です。観客の皆さんに何かただならぬ嫌なことを感じてもらうためにも、演じるわれわれは意味を分かった上でせりふを言わなければなりません。想定以上の出来事が次々に起こる恐怖が伝わってほしいと思います。

 映画の冒頭は、被災地の皆さんにとってつらいシーンが続くかもしれません。でもこの出来事を風化させず、全国に発信するために私たちは精いっぱい演じました。映画からたくさんのことを感じ取り、考えてもらうきっかけになることを願っています。

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