【ご当地アイス・上】相双で人気...アイスまんじゅう、練りあん入り

 
相双地区の読者やリスナーから人気を集めた松永牛乳の手造りアイスまんじゅう(右)とバニラアイス

 今回は読者とラジオリスナーに、お薦めの「ご当地アイス」を尋ねた。スーパーやコンビニで買えるものや、道の駅の名物ソフトクリームなど、各地からさまざまな情報が寄せられた。

 頭でっかちな形

 まず、相双地区の読者とリスナーから熱烈な支持を集めたのが、松永牛乳(南相馬市)の「手造りアイスまんじゅう」とバニラアイスだ。

 投稿によると、アイスまんじゅうは「少し硬めのミルクアイスの中に、程よい甘さのあんこ。かなり頭でっかちの棒アイスなので、落ちないようにバランスを取りながら最後まで気を抜かずに、慎重に(笑)食べなくてはなりません」(南相馬市・くろねこさん)とある。

 バニラアイスについては「容器の形は変わりましたが、今も販売しています」(まごまごさん)、「今も販売しているのですが、子どもの頃に売られていたものとは違うんですよねぇ。40、50代の方なら絶対覚えているはず!」(くろねこさん)と、歴史を思わせる気になる投稿が。

 そこで、松永牛乳代表の井上禄也さんに話を聞いた。まず、同社の創業は1900(明治33)年、乳牛飼育・牛乳処理販売業から始まったという。その後、50(昭和25)年に冷菓製造を開始したそうだ。当時はアイスキャンディーなどを製造しており、冷たく甘いものがなかなか手に入らない時代だったので、飛ぶように売れたという。アイスまんじゅうの製造を始めたのはもう少し後のようだが、正確な時期は井上さんも分からないという。

 復刻版バニラ

 また、現在販売している「松永牛乳(株)のバニラアイス」は、30年以上前に販売されていた商品の復刻版だという。投稿に書かれていた今と昔の違いはこのことのようだ。現在のバニラアイスは、当時と同様に生乳を51%以上使用し、高温保持殺菌法(75度で15分以上殺菌)を採用し、すっきりした風味だという。「生乳に含まれる乳脂肪の風味を生かすため、生乳以外の乳脂肪は加えずに、ラクトアイスの規格としている。生乳の滋味と優しい砂糖の甘さが味わえます」と井上さん。

 また「手造りアイスまんじゅう」の特徴は「外側のアイス部分は生乳を50%使用している。原料の種類を少なくし、生乳に由来する脂肪のみを使い、爽やかな仕上がりになっている。そこに、冷凍しても硬くならない練りあんを使用し、外側の硬さとあんの軟らかさと両方の食感を楽しめます」と、おいしさの秘密を教えてくれた。

 ここで「あれ、自分が食べたアイスまんじゅうは練りあんではなく粒あんだったはず...」と思った読者もいるのでは。現在アイスまんじゅうは全国各地のメーカーで作られており、西日本の企業が作る商品は、粒あんが多いのだ。これについて井上さんは「アイスまんじゅうは三重県や福岡県、群馬県など各地で生産されていて、私は三重県が発祥なのではと思っている。疎開した人たちから製法が各地に伝えられ、地域に好まれる味にアレンジされて現在に至っていると考えられる。弊社の(練りあんを使った)アイスまんじゅうが70年以上支持されているのは、地域に好まれる味だからだと思う」と推測する。

 「相双地区の練りあん文化」、新たな「ココほれ!」のネタになりそうだ。

 同社のアイスまんじゅうとバニラアイスは、道の駅南相馬、セデッテかしま、浜の駅松川浦をはじめ、相双地区のスーパーやコンビニなどで購入できる。同地区以外でもスポット的に販売することもあるそうなので、見かけたらぜひ味わってみたい。(佐藤香)