高校球児に『夏』が来た!代替大会開幕 野球できる日々に感謝

 
無観客で開幕した高校野球夏季大会。新型コロナを乗り越え球児たちの夏が始まった=18日、福島市・あづま球場

 夏の高校野球「福島2020夏季大会」が18日、開幕した。新型コロナウイルスの感染拡大で甲子園球場に立つ夢は消えたが、3年間練習に打ち込んだ選手の努力が代替大会の開催につながった。感謝の思いを胸に刻んだ球児たちの特別な夏が始まった。

 【 組み合わせ 】福島2020夏季高校野球大会(代替大会)

 梅雨の曇り空が広がった県内。感染防止対策として開会式は行われず、県内5球場で静かに熱戦の火ぶたが切って落とされた。あづま球場(福島市)の第1試合は福島北―相馬東。開始を告げるサイレンが鳴りやまない中、相馬東の1番打者鈴木海恵(3年)が初球にバットを振り、落下位置を見極めた福島北の右翼安藤海斗(同)がボールをグラブに収めた。

 あづま球場は来年夏の東京五輪野球・ソフトボールの競技会場。真新しい人工芝のグラウンドで躍動する相馬東ナインは昨年の東日本台風で校舎などが浸水被害を受けた。野球部の部室にあったボールや用具も泥だらけになり、他の学校からボールなどの寄贈を受けて練習を積んだ。相馬東の渡部瑛士(2年)は「こうやって野球ができる日々を楽しめることに感謝したい」とかみしめた。

 第2試合は第1シード学法福島が光南に敗れる波乱の展開に。両エースの投げ合いで息をのむ好ゲームとなった。打席で空振りに終わっても光南の佐藤寿樹(3年)から笑みがこぼれた。「抽選会で対戦が決まってからワクワクしかなかった」。学法福島のエース辻垣高良(同)もすがすがしい表情で試合を振り返った。「大会がないかもしれないと言われていたから、負けたけれどいい経験になった。やっぱり試合の緊張感、楽しさは違う」。辻垣はプロを目指すつもりだ。

 感染防止対策で選手はマウンドに集まる時、グラブで口を覆った。ヨーク開成山スタジアム(郡山市)では、肘と肘とをちょんとぶつけ合う「肘タッチ」で生還した選手を迎えた。いわき光洋の郷真大(3年)は「声援がないなど、ちょっと寂しいが、ほかの年にはない特別感がある」と独特な雰囲気を感じながら野球に集中した。

 白河グリーンスタジアム(白河市)で初戦に臨んだ帝京安積は東日本台風でグラウンド、部室とも水没。野球ができる環境が整った矢先に新型コロナで休校になった。敗れはしたが、主将の植田椋真(3年)は「みんなでいろいろなことを乗り越えてやってきた」と振り返った。

 応援席では保護者がチームのタオルを広げ、拍手で後押しした。声援はなくても、その姿が選手を勇気づけた。逆境に負けず快音を響かせる球児たちの姿が一層輝いた。

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