球児「当たり前の日常、幸せ」 2年ぶり夏の高校野球福島大会

 
声を出さずに応援する来場者=7日、いわき市・いわきグリーンスタジアム

 聖地につながる夏が帰ってきた。いわき市のいわきグリーンスタジアムで7日に開幕した第103回全国高校野球選手権福島大会。「(好きな野球に打ち込める)当たり前の日常は当たり前ではなく幸せなこと」。全国大会中止に涙を流す先輩の無念を目の当たりにしたあの日から1年余り。夢舞台に挑戦できる喜びと責任を胸に、球児たちは一球一打に全てを懸けて白球を追う。

 「2年分の思いを心に刻み、開会を宣言する」。県高野連の木村保理事長の開会宣言で大会は幕を開けた。福島高専の小平和馬主将(3年)は「ここに立つまで受け入れ難い現実があったが、同時に多くのことに気付かされた。支えてくださる方々の存在は大きくて計り知れない」と、グラウンドに立つ喜びと感謝を350字超の選手宣誓に込めた。

 今大会は全日程が有観客で行われるが、観戦者は声を出す応援はできない。それでも、開幕試合で殊勲の一打を放ったいわき総合の池川大地選手(3年)は「観客がいてスタンドが盛り上がっているのが分かった。自分もモチベーションが上がった」と、観客の熱気を活躍の原動力にした。

 雨天のため開会式の開始は1時間30分遅れたが、"2年ぶりの夏"を待ち望む保護者や高校野球ファンが開場前から長蛇の列を作った。

 「観戦できる環境に感謝の気持ちしかない」と話すのは磐城の佐藤綾哉主将(3年)の父和義さん(51)。「選手たちはどんな結果になっても後悔なく精いっぱいプレーしてほしい」と願った。

 開幕試合を見守った県立石川の芳賀輝(あきら)主将(3年)の父尚(たかし)さん(50)は「みんなで応援できる。これこそが夏の大会」と歓迎。ピンチに思わず声を出しそうになったと苦笑いしたが、「(甲子園につながる)夏の大会を目標にしてきた子どもたちにとって、観客に見守られて試合ができたことは何よりもうれしかったと思う」とねぎらった。

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