日大東北・吉田「兄の分まで」123球完投 聖地で躍動へ
「気持ちで投げ切った」。日大東北のエース吉田達也(3年)は9回123球の熱投。18年ぶり甲子園出場の立役者は「優勝に貢献できた」と達成感に満ちあふれていた。
劣勢でも冷静だった。初回、2回と直球を狙われ3失点。ただ「焦りはなかった」と、その後はチェンジアップなど変化球主体の投球に修正。尻上がりに調子を上げ、3回から8回までは無安打に抑えた。
六つ上の兄・健人さんは日大東北野球部のOB。第97回大会決勝で聖光学院に惜敗し、涙をのんだ。「兄の分まで甲子園で勝つ」。兄が立てなかった聖地での躍動を誓った。
松川主将、ナイン団結誇り
「全然、実感が湧きません」。日大東北の主将松川侑矢(3年)はチームの歩みを振り返りながら、喜びをかみしめるように言った。
9回に同点とされたが「この後の3人で終わらせて攻撃につなげよう。そうすれば流れは来る」と声を掛け合った。チームに焦りはなかった。
今大会を迎えるまで「練習試合も含めて逆転勝ちしたのは2試合くらいしか思いつかない」というが、準々決勝から3試合連続での逆転勝ちで頂点に立った。「3年の『最後だ』という思いの強さと1、2年の『3年を勝たせたい』という思いが見えてきた」と松川。甲子園に向け「県代表だから恥ずかしい試合はできない」と気合を入れ直した。