光南2年連続決勝、今年こそは甲子園へ エース小林、執念の決勝打

 
【光南―田村】8回表光南無死一、三塁、右中間に勝ち越しの適時二塁打を放つ小林=ヨーク開成山スタジアム

 郡山市のヨーク開成山スタジアムで26日に行われた第104回全国高校野球選手権福島大会の準決勝。16年ぶり2度目の優勝を狙う光南と3年ぶり17度目の優勝を目指す聖光学院がそれぞれ決勝進出を決めた。

220727k-natu2-1.jpg  【評】光南が終盤の集中打で接戦を制した。1―1で迎えた8回、二瓶と江尻の連打で無死一、三塁とすると、小林が適時二塁打を放って勝ち越し。投げては、先発藤田が緩急をつけた投球で7回途中を2安打1失点に抑えた。田村は8三振。3回に1点を返し、7回にも三塁まで走者を進めたが、あと一本が出なかった。(副島湧人)

 公立の雄、16年ぶりの頂きに挑む

 一進一退の攻防が続く熱戦の均衡が破れたのは、同点で迎えた8回だった。無死一、三塁、光南の小林貫大(かんた)(3年)が内角高めのスライダーをたたいた。「落ちてくれ」。右中間方向に上がった打球は、飛び込んだ右翼手のグラブの前で弾んだ。

 悲願の甲子園への切符に王手を懸ける、勝ち越しの一打。小林は「大一番で打てたことは自信につながった」と胸をなで下ろした。

 「背番号1」を背負うチームの要。7回途中からは、粘投していた先発藤田海(3年)からバトンを受けてマウンドに上がった。「俺に任せろ」。ここまで4試合で14回を投げ1失点と安定感が光る右腕は、最速142キロの直球を武器に魂を込めた投球を披露した。

 春の東北大会直後の6月、練習中に左足を肉離れした。集大成の夏を目の前にした戦線離脱。焦りもあったが、仲間や渋谷武史監督の励ましを受けながらけがの治療に専念した。その中でも、投球フォームの修正や柔軟に励み、レベルアップも忘れなかった。

 2年連続で決勝に駒を進めた。「我慢して戦い、聖光学院を倒す」と小林。昨年はあと一歩で涙をのんだ公立の雄が16年ぶりの頂きに挑む。(熊田紗妃)

 藤田ここぞ、光った制球

 今大会2度目の先発登板となった光南の藤田海(3年)は7回途中まで投げ、2安打1失点に抑えた。「自分のミスから1点を奪われたが、その1点で抑えられてよかった」とうなずいた。

 田村との対戦には苦い記憶がある。今春の練習試合で先発登板し、初回に6点を許した。「制球が定まらず、変化球を長打にされた」。試合後、エース小林貫大(同)らから助言をもらいながら制球力を磨いた。

 迎えた田村戦。「雪辱を果たす時がきた」。当日朝に渋谷武史監督から先発登板を言い渡された藤田は、直球やスライダーを駆使して1失点に抑え、苦い記憶を拭い去った。

 決勝で戦う聖光学院には秋、春の県大会で敗れている。「投手それぞれが持ち味を出し、無失点で抑えたい」。決戦へ、闘志を燃やした。

 田村躍進の夏、最後まで諦めず

 「絶対に後ろにつなぐ」。田村の佐藤航琉(わたる)(3年)は九回2死から二塁打を放ち、最後に4番の意地を見せた。

 3点を追う9回。佐藤航は直球を力強く振り抜き、左中間へはじき返した。次打者の主将渡辺敦也(同)に「あいつなら絶対打ってくれる。頼む」と望みをつないだ。しかし願いは届かなかった。渡辺は左飛に倒れ、田村の夏が終わった。

 チームは「スマイルベースボール」をモットーに全員が笑顔で戦う。「一人でも暗い気持ちでいれば、みんなに伝染する」との考えからだ。この日も、敗退が決まるその瞬間までチームは笑顔を貫いたが、敗戦後は涙を流し、悔しさを隠さなかった。

 チームは今夏、53年ぶりの4強入りという大躍進を見せたが、佐藤航は「甲子園が目標だったので悔しい」と言う。後輩たちに「ベスト4を超えてほしい」と託した。

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