聖光、勝負強く...王者復活 安田、ここぞの決勝3ラン

 
【聖光学院―光南】5回表聖光学院1死一、三塁、勝ち越しの3点本塁打を放つ安田。捕手湯田=ヨーク開成山スタジアム

 郡山市のヨーク開成山スタジアムで27日行われた第104回全国高校野球選手権福島大会の決勝。聖光学院が熱戦の末に光南を6―3で下して優勝し、3年ぶりに頂点に返り咲いた。 220728k-natu3-2.jpg  【評】聖光学院が中盤の好機をものにし勝利した。2―2で迎えた五回、赤堀と高中の連打で1死一、三塁とすると、安田が3点本塁打を放ち勝ち越した。投げては、エース佐山が走者を背負いながらも3点に抑えて完投した。光南は聖光学院の7安打を上回る10安打を放ったが、12残塁と好機を生かせなかった。(阿部二千翔)

 公式戦、初3点本塁打

 王者復活を象徴するかのような力強い打球がスタンドに突き刺さった。聖光学院の安田淳平(3年)が5回に放った公式戦初となる3点本塁打。「前回の試合、チャンスで打てなくて迷惑をかけていたので、一本出てほっとした」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 5回1死一、三塁、一打勝ち越しの場面。「とにかく自信持って振っていけば結果ついてくるんじゃないかと思った」。大きく体勢を崩しながらも外角高めの変化球を右翼スタンドへと運んだ。拍手やメガホンの音が響き渡る中でダイヤモンドを一周。ホームベースを踏み、チームメートと抱き合った。

 この夏に向けてひたむきに練習に取り組んだ。努力の原動力となったのは、先輩たちの悔しさを晴らしたいという強い思いだ。

 昨夏、チームは準々決勝で敗退。スタンドで応援していた安田は、夏の残酷さを目の当たりにした。

 坂本寅泰前主将からは技術だけではなく、打席での心構えも教わった。「先輩たちに恩を返したい」。空いた時間を全て野球にささげた。ここぞの場面で一本出せるよう、学校の授業の合間など、時間を見つけてはひたすらバットを振り続けた。日々の努力が決勝という最高の舞台での活躍につながった。「とにかく熱い気持ちに磨きを掛けて、高みを目指したい」。日々重ねてきた努力に裏打ちされた勝負強さを武器に、甲子園で最高の輝きを放つ。(副島湧人)

 佐山、全身全霊の144球

 最後の打者を打ち取り、仲間と喜びを分かち合った後、気が抜けたようにその場に倒れ込んだ。9回を3点に抑え完投した聖光学院の佐山未来(3年)。その姿は、王座奪還を目指すチームのエースが背負った重圧の大きさを物語っていた。

 「苦しい試合だった」。初回に先制を許し、中盤以降も走者を背負う場面が続いた。春の県大会後、右脚の内転筋を負傷し、十分な投げ込みができないまま今大会に臨んでいた。「心と体が一致しなかった」

 そんなエースを支えていたのは、「決勝はおまえでいくぞ」との斎藤智也監督の言葉だった。直球やカットボールを駆使して要所を締め、144球を投げ抜いた。

 指揮官からの信頼に最高のプレーで応えた佐山。「目標は日本一です」。夏はまだまだ終わらない。

 生田目、技ありスクイズ

 「必死に食らいついていった」。二回1死一、三塁の好機に打順が回った聖光学院の生田目陽(はる、3年)はスクイズを敢行。打球は一塁に転がり、走者は生還。勝ち越しの一打となった。

 チームは春から夏にかけて犠打練習にこだわり、得点力の向上を図った。甲子園出場を懸けた大一番でもチームは犠打を五つ成功させ、得点に絡ませた。

 「お互い恨みっこなしでやろう」。決勝前日、生田目は福島南部シニア時代の仲間である光南の二瓶公太(同)とLINE(ライン)で健闘を誓い合った。試合後の整列で、偶然にも目の前に涙を流す二瓶の姿があった。生田目は歩み寄り、「絶対に甲子園で暴れてくる。ありがとう」と抱きしめた。

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