4年ぶりに声出し応援 開会式で「古関メロディー」

 
開会式で「古関裕而メドレー」を演奏する福島商高と北信中の吹奏楽部=あづま球場

 球音と声援が響き合う、熱い夏が再び球場へ―。8日に熱戦の火ぶたが切られた全国高校野球選手権福島大会は、3年に及ぶ新型コロナウイルス禍を経て通常開催となり、球児とスタンドが一体となってドラマを描く舞台が整った。開会式では福島市出身の作曲家古関裕而の野球殿堂入りを記念して古関メロディーも奏でられ、甲子園出場を懸けた戦いに挑む球児に力強い"エール"が送られた。

 栄冠は君に輝く、国分さんが独唱

 開会式が行われた福島市のあづま球場が伸びやかな歌声に包まれた。「選手の今までの努力が報われるように力を込めて歌った」。福島商高吹奏楽部の国分海人さん(2年)は、古関の代表曲で高校野球ファンにおなじみの「栄冠は君に輝く」を独唱し、球児を鼓舞した。

230709k-natu602-2.jpgスタンドで声高らかに独唱する国分さん

 今回は105回の記念大会として、球児を勇気づけようと古関メロディーにちなんだイベントが企画された。国分さんの独唱に続き、古関ゆかりの福島商高と北信中の吹奏学部が「古関メドレー」で息の合った演奏を繰り広げ、「栄冠は君に輝く」や2020年に放送された古関がモデルの朝ドラ「エール」の主題歌「星影のエール」など3曲を披露した。

 独唱は当初の予定になかったが、大会の約2週間前に福島商高吹奏楽部顧問の瓶子(へいし)美穂子さんが、小学生の頃に合唱部で活動していた国分さんに独唱を提案した。初めての試みに挑戦することを決めた国分さんは限られた練習期間の中で発声や発音を磨き上げ、この日の大役を成し遂げた。「これまでで一番良く歌えた」と胸を張った国分さん。昨夏にかなわなかった球児の応援を心待ちにしていた様子で「選手たちには勝ち上がれるように頑張ってほしい」と胸を熱くする真剣勝負に期待を寄せた。

 「声かれるまで」

 夏の福島大会としては4年ぶりにスタンドでの声出し応援が認められ、熱戦の舞台を盛り上げる風物詩が戻ってきた。開幕戦に臨んだ福島西、福島東の両校の野球部員や生徒、保護者ら関係者がスタンドで応援合戦を繰り広げ、ナインの活躍を後押しした。

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夏の福島大会で4年ぶりに声出し応援が解禁となり声援を送る福島東のスタンド

 「あしたには声がかれるぐらい応援した」。福島東のマネジャー菅野(すげの)いぶきさん(3年)はチームの白星発進を見届けると興奮気味に語った。先制打を放った庄司幹汰(2年)も「大きな声援が聞こえて、うれしかった」と声を弾ませた。

 敗れた福島西の関係者も最後まで諦めなかった選手に向け、エールを送り続けた。武藤耀介(3年)の姉晴香さん(29)は「声出し応援で選手たちに気持ちが伝わったと思う」と話した。

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