福島東の1番・我妻が躍動、大会第1号 全員安打で快勝
◇全国高校野球選手権福島大会・第1日(8日・あづま球場1試合)
【評】福島東が後半の集中打で突き放した。5回、我妻からの5連打で3点を奪い、7回は1死満塁で今野晄が走者一掃の適時三塁打を放ち勝負を決めた。福島西は5、7回を中心に10安打を放ったが、好機を逸した。(熊田紗妃)
我妻「打球が伸びてくれた」
切り込み隊長が試合の流れを変えた。福島東は再三の好機を得点につなげられず、0―0で迎えた5回、主将我妻睦斗(3年)が1死から低めの直球を右越えに運ぶと、「外野を抜ければ三塁を狙う」という50メートル6秒1の俊足を生かして三塁を陥れた。このプレーが打線に火を付け、この回一挙3得点を挙げた。
我妻は続く6回もバットで魅せた。1死二塁から放ったライナー性の打球は中堅手のグラブをわずかに越え、相手の打球処理の間に迷わず本塁に突っ込んだ。公式戦初となるランニング本塁打が大会第1号になり、「打球が伸びてくれた。率直にうれしい」と思わず笑みがこぼれた。
「開幕戦の独特の緊張感でチームに硬さがあった」と振り返るが、終わってみれば全員安打で快勝。我妻自身も3安打2打点の活躍で「球をしっかりたたこうという意識が結果につながった」と納得の表情だった。
県内のどのチームよりも早く手にした、夏1勝。「目標は甲子園。雰囲気良く戦っていきたい」。頼もしい主将がバットでチームをけん引していく。(熊田紗妃)
福島西反撃、意地の2点
試合に敗れはしたが、3年生が中心となって最後に意地を見せた。
福島西は7回表に5失点し、9点差で臨んだその裏、「点を取り返そう」と声をかけ合って反撃に出た。鈴木一芯(3年)が中前打で出塁。1死一塁で打席に立った冨田航生(同)は狙っていたスライダーを強振した。「フライかと思ったが、声援のおかげで打球が伸びていった」。中越えの適時三塁打となり、拳を突き上げてベンチやスタンドの仲間と喜びを分かち合った。
その後さらに1点を返したが、反撃はそこまで。昨年と同じく開幕戦で敗れ、福島西の夏は終わった。2安打2打点と気を吐いた冨田は「成長は示せた。後輩には勝ちの瞬間を味わってほしい」と、思いを託した。