会津の切り札、9回決めた 稲本「打撃だけは負けない」

 
【修明―会津】代打で勝ち越しの適時打を放ち、試合終了後にスタンドの声援に応える稲本(手前右)=あいづ球場

 ◇全国高校野球選手権福島大会・第5日(12日・あいづ球場2試合)

 会津 6―5 修明

 小雨がやみ、晴れ間が見えた9回にドラマが待っていた。5―5の9回表2死二塁。代打で登場した会津の稲本雅響(まさなり)(3年)が初球を迷いなく振り抜く。「球種は覚えていない。思いっきり、強くたたく意識だけだった」。糸を引いたような打球は右翼線を破り、試合を決める勝ち越しの一打となった。

 昨秋は先発出場することもあったが、今春からは代打での出場が増え、思うような結果が残せてこなかった。「ネガティブな思考になり、スイングが弱くなることが多かった」。春の県大会では満塁の場面で代打起用され、空振り三振に終わった。

 気持ちが吹っ切れたのは、夏の大会前の最後の練習試合。トップチームの先発から外れたことで、自分の立ち位置を受け入れた。真壁伊佐男監督には「代打で打ちます」と告げ、覚悟を決めた。

 迎えたこの日の打席。「もう悔しい思いはしない」と、強気のスイングで低めの直球を捉えた。二塁に到達すると感情を高ぶらせ、両拳を握り締めて喜んだ。

 この夏はバットに懸けるつもりだ。「絶対に打撃だけは負けない。毎試合、自分で決めるという気持ちでいく」と稲本。一皮むけた代打の切り札が、チームを勢いづける。(佐藤智哉)

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