初回先制打の聖光2年生・三好、来年こそは頂点「絶対にとる」

兵庫県西宮市の甲子園球場で20日に準決勝2試合が行われた第104回全国高校野球選手権大会第13日。福島県代表の聖光学院は4―18で仙台育英(宮城)に敗れた。仙台育英は夏は7年ぶり3度目の決勝進出で、東北勢として春夏を通じて初優勝を狙う。
送球ミス、三好「気持ち先走った」
142キロの高めの直球に、4番のバットがむなしく空を切った。試合開始からおよそ3時間、最終回。三振で最後の打者となった聖光学院の三好元気(2年)は、「3年生を負けさせたことが悔しい」と涙に暮れた。
先輩への思いを胸に戦ってきた。同じく2年生レギュラーの高中一樹とは試合ごとに「3年生の夏を終わらせない」と誓い合い、互いに鼓舞してきた。
初回1死一、三塁の好機に、その思いをバットに乗せた。「甘い球がきたら振っていこうと思った」。三好は真ん中寄りの球を強振。左翼線を破り、先発の小林剛介(3年)を援護する先制点をもたらした。
ただ、2回の右翼の守備ではまずさが出た。1―2で迎えた無死一、三塁で相手の単打を送球ミスし、二進を許した。投手が佐山未来(同)に代わり1―9で迎えた1死二塁では、右前打を後逸し、2点を献上。「集中力が切れていた訳ではないが、ランナーをかえさないようにという気持ちが先走ってしまった」。2人の3年生投手を助けられなかったことを嘆いた。
大差をつけられ、敗戦。相手の校歌をうなだれて聴いていると、小林剛が肩を支え、こう言った。「ここまでこられたのはお前のおかげだぞ。絶対戻ってこいよ」
涙をこらえた。「次の夏は3年生の思いを背負って、たどり着けなかった日本一を絶対にとる」。必ずこの場所に帰ってくることを心に誓い、夢の舞台を後にした。(佐藤智哉)
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