聖光の先発小室、昨夏覇者と真っ向勝負 仙台育英に122球熱投

 
【聖光学院―仙台育英】6回裏仙台育英2死二塁、打者住石を三振に打ち取りガッツポーズする聖光学院の先発小室=甲子園

 兵庫県西宮市の甲子園球場で福島県代表の聖光学院は12日に行われた第105回全国高校野球選手権記念大会の2回戦で、昨夏の覇者仙台育英(宮城)に2―8で敗れた。持ち味の粘りを発揮して中盤まで接戦を繰り広げたが、終盤の5失点で突き放された。

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 【評】聖光学院は粘り強く戦ったが流れを変えられず、投打で上回る仙台育英を攻略できなかった。初回に野選で先制を許した聖光学院は、二回1死三塁から松尾の犠飛ですぐさま同点に追い付いた。しかし、その裏に1―3と勝ち越されると、その後は杉山の本塁打で1点を返すのみだった。後半は連打で得点圏に走者を進める場面もあったが、継投した投手陣を前にあと1本が出なかった。粘りの投球を続けていた先発小室は球威が落ちた七回に追加点を奪われた。守備は無失策。外野陣は好捕でもり立てたが、立ち上がりの飛球の連係ミスが失点につながったのが痛かった。(坂本龍之)

 連続三振、監督から激励

 仙台育英の強力打線に、真っ向勝負で挑んだ。一回戦と同じ先発マウンドを託された聖光学院の左腕小室朱生(しゅう)(3年)は勝利を信じ、懸命に腕を振った。

 小室の勝負球は120キロ台のスライダーと直球。初回は球が荒れ、女房役の杉山由朗(同)が構えるミットは大きく動いた。先制点を献上し、満塁のピンチも招いたが、それでも気持ちを切らさなかった。後続を連続三振に仕留め、最少失点で切り抜けた。ベンチに戻ると斎藤智也監督から「お前の球は打たれないぞ」と激励を受けた。

 「大胆にいこう」。二回から表情が変わった。ストライクゾーンを有効に使い、左打者の外角、右打者の内角を鋭く突いた。打者の手元付近でどれだけ球を暴れさせるか。渾身(こんしん)のスライダーに直球を織り交ぜると、強打者たちのバットが空を切った。  グラウンド整備明けの六回、相手にファウルで粘られ球数が100球に近づいた。それでも左打者の内角をえぐるスライダーで三振に仕留めた。「絶対負けたくない」

 ただ、球威は落ちていた。七回、甘くなったスライダーを捉えられた。試合を決める大きな追加点を奪われ、小室はこの回でマウンドを降りた。

 7回を投げ6失点。仙台育英の須江航監督は「粘り強く、低めに投げ続けてお手本のようだった」と苦しめられた小室の粘投をたたえた。

 「エースナンバーの『1』が2つ並んだ数字だ」。最後の夏に監督から背番号「11」を与えられた。「もっと野球をやりたかった」。左腕は悔しさを隠さなかったが、「不動心」を掲げるチームにふさわしい122球を投げ抜いた。(坂本龍之)

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