聖光・松尾、先制スクイズ チームの「元気印」流れ呼んだ

 
【共栄学園―聖光学院】5回裏聖光学院2死一、二塁、適時打を放つ松尾

 兵庫県西宮市の甲子園球場で6日開幕した第105回全国高校野球選手権記念大会。福島県代表の聖光学院は9―3で共栄学園(東東京)を下した。前回王者の仙台育英(宮城)が19―9で浦和学院(埼玉)に打ち勝ち、1回戦屈指の好カードを制した。2回戦は昨夏の準決勝でも対戦した聖光学院―仙台育英の東北勢対決が実現する。開幕試合は土浦日大(茨城)が延長10回タイブレークの末、8―3で上田西(長野)を破った。

聖光学院の試合結果

 【評】聖光学院は走攻守ともに隙がない野球で共栄学園との地力の差を見せ付けた。打線は2巡目で相手左腕を攻略し、先発全員安打の16安打。4回1死二、三塁から松尾のスクイズが内野安打となり、続く片山も犠飛を放って2点を先制した。5回は打者9人の攻撃で4得点。9盗塁の果敢な走塁で相手にプレッシャーをかけた。先発小室は6回途中に足をつって降板したものの、無失点の好投。投手陣3人で計10安打を許したが、守備が無失策でもり立て四つの併殺を奪うなど大量失点につながる芽を摘んだ。3番手の高野は要所を締めた。(鈴木健人)

 松尾、2安打2打点の活躍

 地元関西の声援を受けたチームの"元気印"が憧れの場所で躍動した。聖光学院の松尾学武(がくむ)(3年)は2安打2打点の活躍。「ずっと目標にしていた舞台で勝利をつかむことができて良かった」と胸をなで下ろした。

 互いに走者を出しながらも3回まで0―0。相手は終盤の勝負強さがあるだけに、「絶対に先制点がほしかった」と松尾。4回1死二、三塁で打席に立った松尾に斎藤智也監督が送ったサインはスクイズ。「絶対自分が決めて後ろにつなぐ」とベンチに向かって力強くうなずくと高めの直球を三塁方向にしっかり転がし、三走杉山由朗(同)が生還。指揮官は「見事に決めてくれてうちに流れがきた」と目を細めた。

 4点リードの5回2死一、二塁では内角のスライダーを中前に運び、5点目を呼び込んだ松尾。その後50メートル5秒8の俊足で二塁を陥れ、自慢の足でも相手をかき回した。

 大阪府出身。甲子園は自宅から車で20~30分で小中学生の時は毎年のように足を運んだ。少年時代の松尾の目に焼き付いたのは、甲子園でユニホームを泥まみれにしながら必死に白球を追う聖光学院ナインの姿だった。「自分もそういう野球がしたい」。聖光学院の門をたたいた。

 幼いころから憧れていた甲子園での試合。福島大会から打撃の状態が上がらず「不安もあった」というが「体がどうなっても良いから最後まで全力で」とはつらつとしたプレーでチームの勝利に貢献。6回の守備につこうとベンチを出た時に全身がつってしまい、途中交代となったもののバットと足で存在感を見せた。

 次戦は昨年、準決勝で敗れた仙台育英と戦う。「力を出し切れば結果はついてくる。がむしゃらに戦う」と松尾。先輩の雪辱を果たすべく全力プレーを貫く。(熊田紗妃)

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