福島県、ホストタウン『不安』 東京五輪へ政府コロナ対策指針

 
タイのホストタウン、会津若松市の市役所前には歓迎ののぼりがはためく

 東京五輪・パラリンピックのホストタウンについて、政府が新型コロナウイルス感染対策の指針をまとめた。受け入れ自治体にマニュアル策定や相手国・地域との合意などを求めるほか、交流事業は大会後を推奨した。対策の実施経費や人的措置など受け入れ側の負担は大きくなる見通しで、県内のホストタウンや関係者からは「対応が難しい」などの声が上がる。

 「選手の食事に一般のレストランを使えるのか、接触を避けるため宿泊施設に空室を設けるなら、その費用をどうするか。分からないことばかり」。指針を受け、タイのホストタウンとして同国ボクシングチームの受け入れに向けて調整する会津若松市の担当者は話した。

 市内では今月、東京五輪出場が内定した日本の女子ボクシング選手らによる合宿が行われた。練習会場は、手指消毒や換気など感染防止対策を徹底。だが、会場設営などに携わった会津ボクシング協会の神山勝志会長(42)は「マスクをして練習するわけにもいかず、接触競技で感染対策を実施する難しさも浮き彫りになった」と話す。指針については「できるだけの対策は取りたいが、あまりにハードルが高くなると『できないよ』という声も出てくる」と懸念する。市ではこれまで、タイ側と英語の電子メールなどで交渉を続けてきた。合意書についても「これまで以上に英語でのやりとりが多くなるため、意思疎通がうまくできるか心配だ」(市の担当者)という。

 大会理念である「復興五輪」への期待が大きい被災地の自治体担当者も交流の在り方に頭を悩ませる。ジブチ、台湾、米国、韓国の「復興ありがとうホストタウン」となっている南相馬市の担当者は「国からどのような新型コロナウイルス感染対策が必要なのか示されない限り、市も活動できない」とした上で、オンラインなどを活用し、非接触型の交流を検討しているという。スイスのホストタウンとなっている福島市も「来年に向けて具体的に決まっている点が少なく、対応が難しい」と話す。

 一方でサモアのホストタウンとなっているいわき市の担当者は「(対策は)従来やってきたものを再度徹底するような形で、大きな手間にはならないのでは」とみる。ただ、具体的内容が提示されていないとし「国や相手国と相談しながらのマニュアル作成になるだろう」としている。

 練習場貸し切り/相手国と合意書

 政府が提示したホストタウンの対策マニュアルの指針では、外国チームの受け入れに当たって移動、宿泊、食事、練習など場面ごとに徹底した対策を求め、交流事業は幅広い活動が見込める大会後を推奨した。

 各自治体には選手、関係者の滞在場所や移動経路把握のための行程表作成を要請。移動手段や練習場所の原則貸し切りや、食事や宿泊で一般客との接触を避けることなど細かい指針を定めた。選手、関係者に対する検査の実施主体や方法、頻度など具体的な方策は未定の部分も多い。

 今後、各自治体は指針に沿った個別のマニュアルを作成した上で、相手国・地域と制限やルール順守の合意書を交わす必要がある。

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