東京五輪開幕まで半年 コロナ禍、ボランティアら思い

 
東京五輪の開催を願う梅津さん=福島市・あづま球場

 東京五輪開幕まで23日で半年となった。新型コロナウイルスの感染が国内外で広がる中、五輪開催も不透明感を増す。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11度目の夏に開かれるスポーツの祭典。「復興五輪」への思いを強く抱く県内関係者らは、開催の希望を持ち続ける。

 ◆どうしたらできるか

 「(東京)五輪は開催できないという声をよく聞くが、どうしたら開催できるかを考えてほしいと思っている」。東京五輪の大会ボランティアとして大会を支える予定の福島市の梅津逸春さん(72)は半年後に迫った五輪開催を待ちわびる。福島の復興した姿を世界へアピールし、若者や子どもたちに夢と希望を与える五輪の力を信じているからだ。

 1964年東京五輪。ファンファーレとともに始まった入場行進や女子バレーボール決勝、高校2年の梅津さんはテレビに映った東京五輪を鮮明に覚えている。躍動する選手、熱狂する日本列島。スポーツの素晴らしさを感じた体験は、野球に熱中し、少年少女のソフトボールの指導やスポーツボランティアなど70歳を過ぎてもスポーツに携わっている梅津さんの原点だ。

 「もう一度、東京で開催される五輪に何かの形で参加したい」。その思いから、野球・ソフトボールの一部試合が行われるあづま球場(福島市)でのボランティアに応募した。さらに本県を出発する聖火ランナーにも選ばれた。延期が決まってからも、体力が衰えないよう毎日8キロの散歩をこなす。「本当に開催できるのか心配なところもあるが、必ず開催できると信じている」

 ◆何らかの方法で実現

 首都圏で暮らす本県出身者も都市ボランティアとして五輪を支える。その一人、富岡町出身の滝沢利二さん(70)=川崎市=は「コロナ禍が続いているので厳しさは感じているが、何らかの方法で実現してほしい」と話す。

 前回東京大会を富岡一中の級友と一緒にテレビ観戦した記憶から、ボランティアを志願した。高校卒業後に離れた古里の実家は震災と原発事故の影響で取り壊され、昨年9月に跡地を訪れた際には「寂しさで胸が締め付けられる思いがした」という。

 大会理念に「復興五輪」を掲げるからこそ、滝沢さんは五輪の持つ力を信じている。「誰もが笑顔になれる大会になってほしい」と願う。

 ◆9月に交流イベント計画

 スポーツイベントなどの運営を支えるスポーツボランティア団体「うつくしまスポーツルーターズ」の斎藤道子事務局長(56)は「新型コロナが収束しておらず、五輪開催への空気感はまだ感じられない」と率直な胸中を語る。

 同団体は東京パラリンピックの閉会式が予定される9月5日に、Jヴィレッジ(楢葉、広野町)でスポーツボランティアが一堂に集まる交流イベントを開く計画を立てる。五輪を契機に、国内外で活動するメンバーが年に1度、福島に集まり交流するきっかけをつくる目的だ。たとえ五輪が中止になったとしてもイベントは開催予定だという。「(五輪が中止になっても)復興を止めるわけにはいかない。復興への思いをつなぐ機会をつくり上げたい」と話している。

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