笠原、5年越し「結実」 ハンドボール五輪代表、リオ逃し苦悩

 

 東京五輪に出場するハンドボール男子日本代表に選ばれた福島市出身の笠原謙哉(33)=トヨタ車体、聖光学院高卒=は5年越しの夢をかなえ、五輪の舞台に立つことが決まった。前回のリオデジャネイロ五輪は予選で敗れ、五輪出場を逃す悔しさを味わった。チーム最年長として臨む笠原は「夢をつないでくれた人たちに感謝したい」と話し、東京五輪に全てをぶつける。

 リオ五輪予選後、日本代表に招集されない1年のブランクを経て代表入り。「もう代表にはなれないんじゃないか」。自身の限界が頭をよぎる苦しい時期を乗り越え、経験豊富なベテラン選手として念願の五輪代表の座をつかんだ笠原は「これまでの取り組みに間違いはなかった」と感慨に浸った。

 日本代表でのポジションは、主にゴール前の守備を担うピボット(PV)。197センチの大型選手として確固たる地位を築き、チーム内の信頼も厚い。持ち前の守備力に加え、シュートやポストプレーなど攻撃的なプレーでもチームをけん引する存在だ。

 ハンドボールを始めたのは信夫中に入学してから。3人兄弟の末っ子で、5歳上で同じくハンドボールで汗を流していた兄弘規さんの影響を受けた。高校時代は全国高校総体(インターハイ)予選の県高体で準優勝し、惜しくも全国大会出場を果たせなかったが、190センチを超える大型選手として関係者の目に留まり、U―19(19歳以下)の日本代表入りすると、大学や実業団など国内トップレベルで実力を磨いてきた。

 念願の五輪出場が決まり、笠原は「(これまで関わってくれた周囲の人たちが)実力不相応にもかかわらず、将来性だけで自分を未来へつないでくれた」と感謝。自身のプレースタイルである「攻守でチームを助けられる選手」として、まずは予選突破を目標に戦う。

 恩師や家族「羽ばたいて」

 東京五輪の日本代表入りが決まり、笠原の恩師や家族は五輪本番での活躍を願い、エールを送った。

 聖光学院高時代の恩師である上野覚さん(71)は「すごい選手になると思ったが、本当に上手になった」と話し、笠原の努力し続ける才能を評価してきたという。

 上野さんは特に笠原の守備に期待しているといい、「五輪でシュートを止めるところをぜひ見てみたい。大きな舞台で羽ばたいてほしい」と話した。

 家族も五輪出場を祝福した。大学までハンドボールを続けていた兄の弘規さん(37)は「(弟は)運動センスが特別ある選手ではないが、体づくりなどでずっと頑張っていた」と努力をたたえた。父弘大(ひろお)さん(69)は「悔いの残らないようにやってほしい」と願った。

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