あづま無観客「ただただ残念」 五輪、福島県民に落胆

 
有観客から一転して無観客での開催が決まったあづま球場=福島市

 残念でならない―。福島市のあづま球場で行われる東京五輪の野球・ソフトボールが無観客となることが決まった10日、有観客から一転した方針に、県民に落胆が広がった。関係者は新型コロナウイルス感染症が拡大する状況を受けた判断に一定の理解を示しながらも、五輪を生で観戦する機会だけでなく、復興の姿を示す場が減ることに肩を落とした。

 「何年も前から準備を進めてきたのに」。都市ボランティアの福島市の梅津逸春さん(73)は無観客に伴い、活動が中止となることにやりきれない表情を見せた。少年少女のソフトボールの指導やスポーツボランティアなど70歳を過ぎてからもスポーツ活動に携わってきた。都市ボランティアに登録し、9日はJR福島駅前での現地研修に参加。本番用のユニホームを受け取るなど、大会に向け気持ちが高まっていたところだった。「東京は無観客で仕方ないと思っていたが、福島と宮城は復興五輪という背景がある。観客を入れての開催を望んでいたので非常に残念だ」と言葉を漏らした。

 観戦チケットは10日に再抽選の結果が示されたばかり。28日の野球の観戦チケットを持っていた郡山市の女性(32)は再抽選でも当選し期待を膨らませていた。その日のうちに無観客となり「全国から観客が来るので仕方がない気はするが、ただただ残念。1年延期したにもかかわらず観戦できなくなり、『結局か』という思い」と嘆いた。学校連携のプログラムで観戦予定だった川俣町の福田小4年の黒沢龍輝君(9)も「選手が打つところや投げるところ、活躍する格好いい姿を見るのを楽しみにしていた」と残念がった。

 大会成功に向けて尽力してきた県内の競技関係者。パブリックビューイングや「おもてなしイベント」はいずれも中止。コロナ禍で関連イベントが次々と中止となり、有観客開催は競技の魅力を伝え、今後の盛り上げにつながる望みだった。県野球連盟の花沢興一会長(80)は「何が正解か分からない。有観客でやってほしいというのが本音」とこぼし、県ソフトボール協会の長沢初男会長(73)は「本当にショックが大きくて言葉が出ない」と述べ、「どんな状況で復興五輪を伝えたらいいのか」と言葉少なに語った。

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