上野の206球...「復興五輪」へ思い あづま球場で連勝

 

 無観客開催がもったいないくらいの劇的な幕切れだった。日本は延長8回タイブレークを制してあづま球場で2連勝。「自分が持っている全てをこのグラウンドに置いてこられた」。先発上野由岐子(ビックカメラ高崎)は連投にもかかわらず初回から飛ばした。

 福島で、全力で―。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が「復興五輪」という大会理念に暗い影を落とす中、選手は被災地に思いを寄せ続けた。「福島の人が五輪を成功させようとしてくれている。その思いにどれだけ自分たちが応えられるか」。第一人者は開幕からの2試合で計206球を投じた。「最後は体が持たなかったが一球一球思いを込めて投げられた」。言葉通りの雄姿を福島の地に刻んだ。

 ソフトボールは開会式の前に、全競技に先駆けて始まった。「福島開催をテレビで見ている人に『あした頑張ろう』と思ってもらえる試合をしようと話してきた」と山田恵里主将(デンソー)は明かす。

 山田は7回、同点に追い付かれる失策をした。「自分のミス」と悔やむが気持ちは切らさなかった。延長8回に無死二塁の走者となり、内野ゴロの間に三進。投球と同時にスタートを切り、渥美万奈(トヨタ自動車)の内野安打で生還、サヨナラ勝ちをつかみ取った。

 13年ぶりの金メダルへ、好スタートを切った。「復興五輪は横浜でも変わらない。日本中、世界中の希望の光となれるようなプレーをする」。こう宣言する主将の言葉は県民への最大級の"エール"のようだった。(折笠善昭)

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