笑顔も悔し涙も勲章 福島県勢、パリへ希望

 
銅メダルを手にする渡辺(左)と東野。県勢唯一のメダリストとなった

 あづま球場(福島市)のソフトボール開幕戦から数えて19日間の熱戦を終えた東京五輪。県勢アスリートの活躍は県民に大きな感動と力を与えてくれた。メダルはバドミントン混合ダブルスの渡辺勇大、東野有紗組(日本ユニシス、富岡高卒)の銅一つ。歓喜の笑顔や悔し涙、そして3年後のパリへの希望。県勢アスリートたちの活躍を振り返る。

 2012年ロンドン五輪男子200メートル平泳ぎ銅メダルの立石諒(郡山市育ち)以来、本県に9年ぶりのメダルをもたらした渡辺、東野組。富岡一中時代からペアを組む2人は準決勝で敗れはしたが、3位決定戦をストレート勝ちした。「いろんな先輩方の思いを背負って一緒に戦って、みんなで取ったメダル」。東野の言葉に2人の思いがにじんだ。

 メダルには届かなかったが、初出場で7位に入賞したウエイトリフティング男子67キロ級、近内三孝(日大職、田村高卒)。ジャーク2回目に172キロを挙げ、ふらつきながら持ちこたえた。「自分の力というより応援してくれるみんなに抑えてもらった」

 3位決定戦で敗れたレスリング女子76キロ級の皆川博恵(クリナップ)は、33歳で初の五輪だった。メダルは逃したが「本当に素晴らしい舞台だった」と目を赤くした。

 メダルを有力視されても誰もが力を出し切れるわけではない。金メダル候補だったバドミントン男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本、富岡高卒)の予選落ちは、まさかの結末だった。遠征先で巻き込まれた交通事故や新型コロナウイルス感染を乗り越えて迎えた舞台。負ければ敗退の予選第2戦、「自信を持ってプレーできなかった」と相手に傾いた流れを取り戻せなかった。競泳男子200メートル自由形の松元克央(かつひろ)(セントラルスポーツ、いわき市生まれ)もメダルが期待された一人だった。19年世界選手権銀メダリストは予選で敗退し「ちょっと信じられない」と天を仰いだ。ロンドン五輪以来、2度目となった自転車男子の新田祐大(日本競輪選手会、白河高卒)はスプリントとケイリンの2種目に出場したが、本来の力を出し切れず悔しい結果に終わった。

 五輪後半戦を盛り上げた陸上は若手の活躍が目立った。男子1万メートル17位の相沢晃(旭化成、学法石川高卒)は、同郷で前回東京五輪マラソン銅メダリスト円谷幸吉と同じ東京を駆けた。今後はマラソンへの期待も高まる。男子400メートル障害の山内大夢(ひろむ)(早大、会津高卒)は日本人唯一の準決勝進出を果たし、男子200メートルの山下潤(ANA、福島高卒)は予選落ちながら日本勢トップのタイムを記録した。準々決勝敗退となったサッカー女子の遠藤純(日テレ東京V、白河市出身)とともに20代前半の4人には、3年後のパリ五輪への期待も高まる。

 一方で30代のアスリートも躍動した。笠原謙哉(トヨタ車体、聖光学院高卒)が出場したハンドボール男子は33年ぶりに歴史的な1勝を挙げ、自転車女子ロードレースの金子広美(イナーメ信濃山形、白河二高卒)は日本人選手のサポート役に徹し、43位で完走。コースの一部は有観客で行われ「沿道からの応援も力になった」。カヌー・スプリント男子カヤックフォア500メートルの宮田悠佑(和歌山県教育センター学びの丘、安達高卒)は準決勝進出を逃したが「戦いの感覚を次の世代に伝えていきたい」と誓った。