東北電力が最高益、3年ぶり黒字 3月期決算、電気料見直し未定
東北電力が30日発表した2024年3月期連結決算は、純損益が2261億円の黒字(前年同期は1275億円の赤字)となり、3年ぶりに黒字転換した。経常損益は2919億円の黒字(前年同期は1992億円の赤字)で、いずれも連結決算の公表を始めた1995年3月期以降で過去最高。売上高は2兆8178億円(前年同期比6.3%減)で減収増益となった。
燃料価格低下を電気料金に反映する「燃料費調整制度」のタイムラグ(時間差)の影響で利益を大きく押し上げ、前年比2170億円増加の差益が発生した。
収益は大きく改善した一方で、自己資本比率は15.4%(前年度比4.9ポイント上昇)と低く、有利子負債残高は3兆2909億円に上る。仙台市の本店で記者会見した樋口康二郎社長(国見町出身)は、「電力の安定供給を維持していくために自己資本を積み増しし、財務基盤の早期回復に注力することが重要」との認識を示し、電気料金の値下げについては「見直しを検討する必要があるが、現段階では何も決まっていない」と述べた。
売上高の減少は、高圧以上の電気料金の見直しや燃料価格の低下に伴う燃料費調整額の減少が響いた。販売電力量は猛暑で冷房需要が増加した一方、産業用電力の稼働減や節電の動きがみられたことから、792億キロワット時(前年同期比3.2%減)に落ち込んだ。
25年3月期の連結業績予想は、売上高2兆8300億円、経常利益1900億円、純利益1300億円を見込む。9月に予定される女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機の再稼働により燃料費400億円の削減を想定している。
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