双葉に消防団屯所「復活」 第1・2分団、地域の安全安心守る

 
伊沢町長から貸与証を受けた渡辺団長(中央)

 双葉町が町内に整備を進めてきた町消防団第1、第2分団の各屯所が完成し5日、町役場で貸与式が行われた。町内に屯所が復活するのは東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後初めて。県内外の避難先から集まった団員が地域の消防と防災の担い手として住民の安全・安心を守ろうと誓いを新たにした。

 町消防団には九つの分団があり、各地に屯所を構えていた。しかし、震災と原発事故の影響で全て使えなくなり、活動拠点を失った。

 JR双葉駅周辺の特定復興再生拠点区域(復興拠点)で昨年8月に避難指示が解除され、住民の生活が再開したことから、町は主に復興拠点内を活動範囲とする第1分団(新山地区)、第2分団(長塚地区)の各屯所を先行して整備した。

 屯所は鉄骨2階建て。車庫には消防ポンプ車と小型動力ポンプ積載車を1台ずつ配備したほか、詰め所、待機室、ホース乾燥塔を設けた。総事業費は約27億4700万円で、経済産業省の電源立地地域対策交付金施設整備基金を活用した。

 式には約50人が出席。伊沢史朗町長が「消防人として地域社会に根付いたまとめ役となり、より一層の活躍を期待する」と語り、渡辺浩美団長に貸与証を手渡した。渡辺団長は「多様化する災害や火災に対応できるよう訓練し、地域防災の要として地域の安全と安心のため全力を傾注する」と謝辞を述べた。