同級生の企業と協力...双葉に洗車場、今月中旬ごろ開業へ

東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの地域再生が進む双葉町で、洗車場の整備が進められている。同町や隣接する大熊町では工事や運搬などの復興事業に関わる車両が数多く往来するが、事業所に帰る前に泥を落とす場所がなかった。整備を進める地元企業・伊達屋の吉田知成社長は「事業者や双葉町に住む人、訪れる人の洗車ニーズに応えたい」と、器具の点検に余念がない。
吉田さんが経営する伊達屋は、双葉町がまだ帰還困難区域だった2017年6月に国道6号沿いのガソリンスタンドを再開し、復興事業を支えてきた。当時からスタンドの利用者を中心に「車両の泥を落としたいが何とかならないか」との声が寄せられていたが、下水道の機能などが十分に回復しておらず、対応することができなかった。
昨年8月にJR双葉駅前を中心とした地域のインフラが復旧し避難指示が解除されたため、洗車場の整備を決めた。場所は国道6号の寺内前交差点近くで、大型ダンプやトラックに対応できるセルフ洗車機を2台、乗用車用のセルフ洗車機を2台、乗用車用のドライブスルー洗車機を1台の計5台をそろえた。間もなく完成し、今月中旬ごろの営業開始を目指している。
洗車場の測量設計から土木、電気、給排水の工事に至るまで、吉田さんの双葉高の同級生らの企業が請け負った。そして、建設した土地は、かつて吉田さんの祖父がボウリング場を営み、震災前には「カスタム電子」の工場として使われていた場所だ。
1日に現場で機器の性能などを確認した吉田さんは「使用する水は祖父の代に掘った井戸の水。洗車場で車をきれいにしていってほしい」と語った。その表情からは、町の機能を回復させている地域に密着した企業の自負が読み取れた。
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