えびす講市「ただいま」 富岡中央商店街で13年ぶり、町に活気
福島県富岡町の伝統行事「富岡えびす講市」が11日、町内の富岡中央商店街の通りを歩行者天国にして開かれた。同商店街で開かれるのは13年ぶりで、帰還した町民や避難先から訪れた町民の交流の輪が広がった。
えびす講市は1923年に始まり、今年で100周年を迎えた。東京電力福島第1原発事故で中断し、2017年に復活したが別の場所で開催してきた。会場には飲食や物品販売など40超のブースが出展。多彩なステージも繰り広げられた。
午前11時11分11秒には来場者が乾杯し、13年ぶりに元の場所で開催できたことを祝った。遠藤一善町商工会長は「震災前の場所で開催できて感無量だ。復興へと進む町に活気が戻った」と喜んだ。
商店街は建物が取り壊されて空き地が目立ち、原発事故前の光景とは一変した。ブースを出展した町婦人会の田中美奈子会長は「この場所で開催したことに意義がある。少しずつだが前に進むしかない」と語った。
原発事故で町内から郡山市に避難した山本洋子さん(77)は、会場で久しぶりに友人や知人の顔を見て心が弾んだ。「帰りたくても帰れない。もどかしさばかりが募ってしまうね」と話し、にぎわう通りを見つめていた。
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