「WHERE THE WILD THINGS ARE」(かいじゅうたちのいるところ) ―vol.04
虫が奏でる音に誘われて、夜空のお月さまを見上げたくなります。今月は、「絵本の巨匠」モーリス・センダックの代表作『WHERE THE WILD THINGS ARE(かいじゅうたちのいるところ)』を紹介します。
ある晩、おおかみのぬいぐるみを着たマックスは大暴れ。
「I'LL EAT YOU UP!」
(おまえを たべちゃうぞ!)
とお母さんに言ってしまい、夕ご飯抜きで寝室に放り込まれます。
すると部屋に森や野原が広がり、波が打ち寄せ、舟に乗ったマックスがたどり着いたのは、かいじゅうたちのいるところ! かいじゅうに魔法をかけたマックスは王様になり、かいじゅうおどりを始めます。存分にかいじゅうおどりを楽しみますが、マックスはふとさびしくなって帰りたくなります。
「Oh please don't go ―」
(おねがい、いかないで)
「we'll eat you up-we love you so!」
(おれたちは たべちゃいたいほど おまえが すきなんだ。たべてやるから いかないで)
と、かいじゅうたちにお願いされても、マックスは舟に乗り込んで帰っていくのでした。
絵本の中ではお月さまが満ち欠けし、森もどんどん大きくなっていきます。マックスがかいじゅうたちと踊り、心が解放される場面は、絵本の見開き3ページにわたって描かれていて圧巻です。絵本を読みながらマックスの冒険に「同行する」子どもも、かいじゅうたちと一緒に踊り、心を解き放つことでしょう。そして冒険から戻ってくる場所では、自分を受け入れてくれるという心の充足感が必要で、それが満たされることによって子どもはこの上ない幸せを感じることができるのです。
マックスが戻った部屋には夕ご飯が用意されていました。そこにお母さんの温もりを感じ、子どもの心は満たされるのです。ことばを身につけるには、子どもの心が安定していなくては身につきません。このような絵本で、子どもの心とことばを豊かに育みたいものです。
ラボ・パーティ講師 佐藤暁子 福島市出身、在住。絵本を通して英語力・社会力・コミュニケーション力を育てる「ラボ・パーティ」(本部・東京)の教室「ラボ佐藤パーティ」を2001年開講。趣味は舞台鑑賞。ラボ国際交流ボランティアリーダー。県内にラボ・パーティは17カ所あります。
2021年9月号・Me&Youより
- 「CHOO CHOO THE STORY OF A LITTLE ENGINE WHO RAN AWAY」(いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう) ―vol.22(最終回)
- 「The Vixen Who Found a Bark Sandal」( わらじをひろったきつね) ―vol.21
- 「GUESS HOW MUCH I LOVE YOU」(どんなにきみがすきだかあててごらん) ―vol.20
- 「Olle's Ski Trip」(ウッレと冬の森) ―vol.19
- JUGEM(じゅげむ)From Rakugo―vol.18
- PETUNIA(がちょうのペチューニア)―vol.17
- MOMOTARO The Boy Born from a Peach(ももたろう)―vol.16
- 「The Story Of The Three Little Pigs」(3びきのコブタ)―vol.15
- 「London Bridge Is Falling Down!」(ロンドン橋が おっこちる!) ―vol.14
- 「Over in the MEADOW」(おおきな のはら) ―vol.13