「スアレス一家は、今日もにぎやか」 変化の大切さに気付く

 
あすなろ書房 1650円

 メルシは中学1年の女の子。フロリダの名門私立校(しりつこう)に奨学生(しょうがくせい)として通っている。彼女(かのじょ)の家族は両親と兄で、隣(となり)に祖父母(そふぼ)、その隣に叔母(おば)と双子(ふたご)のいとこが、同じ敷地(しきち)に小さな平屋(ひらや)を3棟(むね)建てて暮(く)らしている。キューバ系米国人のスアレス一家は、干渉(かんしょう)し合い、けんかしながらも、深い愛情(あいじょう)で結ばれている。

 ところが、メルシには不満がいっぱい! 名門校のクラスメートは、リッチな子ばかりで話が合わず、ボスキャラの女子には目をつけられるし、いとこの世話のためにサッカークラブの選抜(せんばつ)試験も受けられない。そして何よりも心配なことは、大好きなおじいちゃんが突然迷子(とつぜんまいご)になったりして、様子が変なこと。いったいどうしちゃったの、おじいちゃん。

 中学1年の女の子の学校と家庭生活のリアルさに驚(おどろ)き、また共感もできる一冊(いっさつ)。大人の事情を理解(りかい)し、"変化することの大切さ"に気付く主人公の成長がすがすがしい。2019年ニューベリー賞(しょう)受賞作。高学年から。