「『オードリー・タン』の誕生」 心臓病や不登校乗り越え

講談社 1650円
ITの天才として15歳(さい)で起業、35歳で大臣に就任(しゅうにん)した台湾(たいわん)のオードリー・タンさん。コロナ禍(か)では、マスク不足を解消(かいしょう)するシステムをハッカーと協力して開発するなど偉業(いぎょう)を成し遂(と)げています。
でもオードリーには、IQが高い「ギフテッド」故(ゆえ)の生きづらさを乗り越(こ)えてきた幼少期(ようしょうき)の過去(かこ)がありました。
重い心臓病(しんぞうびょう)があり本を読むことが好きだったオードリーは、小学校入学時に学習内容(ないよう)をほぼ終えてしまい、一律(いちりつ)の授業(じゅぎょう)に意味を見いだせません。教師(きょうし)の体罰(たいばつ)も重なり不登校になりますが、父親の理解(りかい)を得(え)られず失意の底に突(つ)き落とされます。さらに思春期になると、性自認(せいじにん)が女性であるトランスジェンダーとしての自分に向き合うことになるのです。
自身の経験(けいけん)を基(もと)に「誰(だれ)も取り残さない社会」を目指す、オードリーの強さと優(やさ)しさに感服します。指をくわえて見ていても何も変わらない。自分のために、誰かのために何ができるか考えたいと鼓舞(こぶ)される一冊(いっさつ)。高学年から。
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