「奉還町ラプソディ」 商店街でお年寄り活躍

 
BL出版 1760円

 明治時代から続く「奉還町(ほうかんちょう)商店街」は歴史(れきし)が古く、お年寄(としよ)りが経営(けいえい)する店が多い。ファッション「べにや」のおっちゃん、たねやのハルエさん、雑貨(ざっか)屋のナミばあ、理容(りよう)店の井上さんや接骨(せっこつ)院の沖原先生たち、みんな元気なじいちゃん、ばあちゃんたちだ。

 5月、商店街活性化(かっせいか)のためテレビの取材が入ることになる。みんなは喜(よろこ)ぶが、べにやのおっちゃんだけ大反対。さて、当日になって...。(「べにやのおっちゃん、とぶ」より)

 5月から12月までの商店街のさまざまな出来事を、小学5年生のさとしと、あつしの目を通して描(えが)く五つのお話。時おり登場するゆったりした岡山弁(べん)が心地よく、ユーモアもあり、くすっと笑える。

 さとしは思う。「ここのじいちゃんばあちゃんたちには、一人残らず青春があって、そして今がある。ぼくたちも、ここでこんなふうに年をとって生きていくのかなあ」と。命のつながりを思う一冊(さつ)。高学年から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています