「屋根のうえのバトンリレー 日本でいちばん南にあるかやぶきの家」 総出で修理、技術伝える

 
ほるぷ出版 1760円

 沖縄県の西表島(いりおもてじま)に、有形文化財(ざい)に指定され保存(ほぞん)されている、かやぶき屋根の家があります。約150年前に建てられ、今は誰(だれ)も住んでいない家ですが、6~10年に1度かやのふき替(か)え(屋根の修理(しゅうり))をします。集落をあげての村人総出(そうで)の大仕事です。

 垂木(たるき)(屋根を支(ささ)える部材)に使うマングローブの木、結わえるためのつる性(せい)植物クーチと大量のかや。全てが身近にある材料です。屋根の上と下で「イディヨゥーリ」「トォー」と声を掛(か)け合いながら、かやぶき作業が始まりました。その他にも、集落の誰もが自分のできる仕事をします。そして最後に行うニンガイで、土地の神様に祈(いの)りを捧(ささ)げます。

 沖縄地方の「ゆいまーる」助け合いの精神(せいしん)で行う、屋根のふき替えを記録した写真絵本です。10年に1度の改修で、次世代に受け継(つ)がれていく知恵(ちえ)や技術(ぎじゅつ)。それこそが、屋根のうえで行われる「伝えること」のバトンリレーなのです。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています