「セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏」 悩む高校生、星空に導かれ

 
講談社 1650円

 安斎(あんざい)えるもは、中学3年間を東京で過(す)ごし、この春、ド田舎(いなか)の地元高校に入学した。幼(おさな)なじみの古雪(こゆき)と晴彦(はるひこ)も同じ高校だ。東京ではSNSの中傷(ちゅうしょう)やいじめでボロボロになっていた。今も何をしたいのかわからない。

 ある日、えるもはひょんなことから学校の屋上で見上げた星空に感動し、天文部に入部することを決める。部員は2年生の変人の嵐士(あらし)先輩(せんぱい)ひとりで、廃部寸前(はいぶすんぜん)だった。古雪や晴彦を巻(ま)き込(こ)み、部の存続(そんぞく)のため奔走(ほんそう)するが、先輩は非(ひ)協力的で、周りの目もなぜか冷ややかだった。いったい何があったのか...。嫌(きら)いだった"えるも"という名前だったが思いがけない由来を先輩に聞き、だんだん好きになってくる。そして、えるもは徐々(じょじょ)に本来の元気を取り戻(もど)していくのだった。

 さまざまな思いや悩(なや)みを抱(かか)える高校生を等身大の姿(すがた)で描(えが)いた青春小説。この秋、次巻(かん)発売予定。嵐士先輩が語る星座(せいざ)の話に耳を傾(かたむ)け、夜空を見上げてみませんか。中学生から。

 ※福島子どもの本をひろめる会が推薦する本を紹介しています