【TRY・イナイチ(上)】ぐるっと猪苗代湖!自転車はマナー

 

 新型コロナウイルスの影響で休日は家にこもり、映画を見る日々。季節は夏になり、元球児の記者にとっては外で思いっきり汗をかきたい。「自転車で猪苗代湖を一周なんてどうだ」。上司からのひと言に胸が躍った。猪苗代湖の絶景を眺めながら、湖の周辺など約80キロのサイクリング「イナイチ」を体験するのが今回のトライだ。(郡山総支社・斎藤優樹)

 郡山市中心街から車で向かったのは、磐梯熱海温泉で自転車のレンタルをしている「温泉ゲストハウス 湯kori(ゆこり)」。出迎えてくれたのは従業員の安斎達哉さん(34)だ。

 「どれにしましょうか」。駐輪場にはロードバイクとクロスバイクの計3台の自転車が並ぶ。これまで"ママチャリ"しか乗ったことがなく、スポーツバイクは分からない。直感から真ん中のクロスバイクに決めた。

 「いざ猪苗代湖」と前のめりになっていると、「輪行(りんこう)の仕方知ってますか」と安斎さん。初めて聞く言葉に目が丸くなる。イナイチを行うには、JR磐越西線で磐梯熱海駅から、湖岸近くの上戸駅(猪苗代町)に向かう手段がある。

 電車内でほかの乗客の迷惑にならないように自転車を解体する輪行はマナーだという。今回は車に自転車を積んで猪苗代湖に向かうが、後学のため輪行の仕方も教わった。

 いざ発着点となる猪苗代湖畔の上戸浜へ。あいにくの曇り空の下でも、猪苗代湖は水色に輝いている。今日は左回りに湖を一周だ。はやる気持ちを抑えながら自転車を組み立て乗ってみると、サドルの高さにバランスを崩す。

 「これは思ったより難しいかも」と、幼いころに自転車の補助輪を初めて外して乗った時の記憶がよみがえってきた。苦笑いしながら走り出すと、その不安はすぐに消えた。左手には青く広がる猪苗代湖、右手には懐かしさを感じる田園風景が広がる。「今回のトライは当たりだな」。つぶやいてこぎ出したが、「楽」ばかりではなかった。

          ◇

 イナイチ 猪苗代湖周辺の観光振興策として、県が自転車愛好家を対象に紹介しているサイクリングコース。JR磐梯熱海駅近くの「湯kori」に設置されたレンタル場では来年3月末まで、無料でスポーツタイプの自転車を貸し出している。