【五輪現地ルポ】「ゼロコロナ」厳戒 毎日PCR検査、痛みも

 
大会関係者に義務付けられているPCR検査。検査官次第では苦痛を伴うこともある

 新型コロナウイルスのオミクロン株の世界的流行が続く中行われている北京冬季五輪。本県ゆかりの選手を含む日本勢の奮闘が続くが、中国政府が「ゼロコロナ」の厳戒態勢を敷き、大会は東京五輪を大きく上回るコロナ対策が講じられている。

 東京五輪に続き、新型コロナ対策として「バブル方式」を採用した今大会。記者も外部との接触が禁止された「クローズドループ(閉じた輪)」の中で取材や生活を送る。輪の外とは自由な行き来ができず、取材拠点となっているホテルから各競技会場などへの移動は専用バスや高速鉄道が中心だ。

 悩みの種となっているのが、日本では症状が出たり、濃厚接触者となったりした人が受けるPCR検査だ。東京五輪・パラリンピックは中3日で唾液による検査だったが、今大会の検査は毎日。24時間以上検査を受けないと、見知らぬ番号から突然、電話がかかってくるという。検査では喉の粘膜が採取されるが、検査官によっては、執拗(しつよう)に口の中の粘膜を採取しようとし、痛みを伴うことも。「今日はどんな検査官だろう」。記者も戦々恐々としながら、毎日の検査場に向かっている。

 検査結果は午前0時~正午の検査分はその日の午後8時、正午~翌日午前0時の検査分は同6時までに判明する。

 記者は翌朝に結果が分かるよう、午後の検査を受けている。朝は得意ではないのだが、北京に来てから自然と午前6時には目が覚めるようになった。

 凍る川「天然リンク」

 ただ、厳しいことばかりではないのが五輪だ。専用バスの移動は楽しみの一つ。外部との接触が一切禁止されているといっても、車窓から凍った川ではしゃぐ子どもたちをはじめ、屋外に設置された卓球台で汗を流したり、広場で太極拳にいそしんだりする市民の日常生活を垣間見ることができる。コロナ下の中国を知る貴重な時間だ。

 世界各国のメディア関係者が拠点とするメインメディアセンターは、北京中心部にあり、連日5000人近くが出入りしているという。

 その中で関係者を驚かせているのが、食堂に整備された「仕掛け」の数々だ。記者がチャーハンを注文し、支払時に指定された座席に着いて10分ほど。突如、真上のライトが点滅したかと思うと、天井から料理を載せた容器が静かに下りてきた。日本勢の活躍が目立つジャンプ競技よろしく、寸分の狂いもない着地にはほとんどのメディアが高得点を付けていることだろう。思わず満点を出しそうになったが、料理の味は記者好みとは言えず、減点対象となってしまった。

 ここでの調理はほとんどがロボットにより自動化されている。先端技術の活用は感染症対策とも、外出などが制限されたメディアを楽しませるための「おもてなし」とも受け取れた。(中国・北京=本社報道部・折笠善昭)

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