北京冬季五輪第８日の１１日、スノーボード男子ハーフパイプで本県ゆかりの平野歩夢（２３）＝ＴＯＫＩＯインカラミ＝が優勝した。１９９８年長野五輪で採用されたスノーボードで、日本勢の金メダルは初めて。

　平野歩は１５歳で初出場した２０１４年ソチ大会で冬季の日本選手最年少メダリストとなる２位、１８年平昌大会も銀メダルに輝いた。冬季五輪３大会連続の表彰台も日本勢初となった。

　予選トップの平野歩は、最後の３回目に斜め軸で縦３回転、横４回転する高難度の大技「トリプルコーク１４４０」を決め、９６．００点で２位から逆転した。

　平野歩の弟の海祝（かいしゅう）（１９）＝日大＝は９位、戸塚優斗（２０）＝ヨネックス＝は１０位、平野流佳（るか）（１９）＝太成学院大＝は１２位だった。

　平野歩は、小学生時代に南会津町の会津高原南郷スキー場で練習を重ね、競技の基礎を磨いた。

　２回目採点に「怒り」、完璧大技で再び逆転

　つかみかけた金メダルがこぼれ落ちた平昌から４年、今度は平野歩夢が逆転劇の主人公になった。

　トップと０．７５ポイント差の最終滑走。技が決まる度、観衆の期待は膨らんだ。最後の着地が決まると、新王者誕生を確信したかのような大歓声が寒空の張家口に響いた。

　決勝は３回の試技で競う。２回目。公式戦では平野歩しか成功していない大技「トリプルコーク１４４０」を完璧に決めた。得点は伸びず２位、会場からはブーイングも起きた。「（点数は）納得がいっていなかった。いらいらした」。得点が映った画面に鋭く目を向けた。

　２度目の五輪となった４年前は、トップに立ちながら最後の最後でショーン・ホワイト（米国）に逆転を許した。今回は平野がホワイトの立場になった。「完成度を高めれば上回る自信があった」。より高く、そしてより着地にこだわる。逆転の決意と「怒り」を込め、再び大技を完璧に決めた。全ジャッジが９５点以上をつけ、大一番で思い描いたシナリオを完成させた。

　３度目の五輪で手にした頂点。「今日、この日に満足している」。ようやくたどり着いた表彰台の中央で"金メダリスト・平野歩夢"が日の丸を誇らしげに掲げた。（中国・張家口＝本社報道部・折笠善昭）