聖光いざ3年ぶり王座奪還へ 左腕小林、圧巻の投球8回無失点

 
【聖光学院-東日大昌平】8回を無失点に抑えた聖光学院の先発小林剛=ヨーク開成山スタジアム

 郡山市のヨーク開成山スタジアムで26日に行われた第104回全国高校野球選手権福島大会の準決勝。3年ぶり17度目の優勝を目指す聖光学院と、16年ぶり2度目の優勝を狙う光南がそれぞれ決勝進出を決めた。

220727k-natu3-1.jpg  【評】投打がかみあった聖光学院が快勝した。2回、2死三塁から伊藤の適時打で先制。3回は三好と狩野の適時打で4点を加えて引き離した。投げては先発小林剛が8回を無失点に抑えた。9回はエース佐山が3人で締めた。東日大昌平は得点圏に走者を進めたのは一度で、散発の4安打と打線に勢いがなかった。(熊田紗妃)

 泥くさく、全員で気持ち合わせる

 聖光学院投手陣としてのプライドを懸けて臨んだ左腕が圧巻の投球を見せた。先発小林剛介(3年)は8回を投げ4安打無失点。変化球を中心に組み立てた打たせて取る投球で、守りにも助けられながら決勝進出に大きく貢献した。「緊張していたなりに自分らしい投球ができた」と喜びをかみ締めた。

 「自分たちの代は投手力が弱い。佐山一人には任せられない」。エース佐山未来(3年)とともに試合をつくれる投手になろうと、努力を重ねてきた。冬は筋力トレーニングや雪の上を走るなど特に下半身を強化。6月からは、暑さや苦しい展開でも倒れない体をつくろうと、ブルペンで1日150~200球を投げ込んだ。この日、鍛え抜いた体で見事役割を果たした。

 神奈川県出身。知り合いもいない新天地で野球に集中して甲子園を目指そうと、地元から離れた聖光学院を選んだ。「入学を決めた時、親と甲子園に行くと約束した」。帽子のつばに『約束』と刻み、マウンドに上がる前に必ず見て気持ちを奮い立たせた。

 27日、約束の甲子園に向けた最後の戦いに臨む。「苦しい展開でも引かずに泥くさく、全員で気持ちを合わせてやっていきたい」(副島湧人)

 粘って粘って速球攻略、先制呼び込む

 速球対策が奏功した。2回2死三塁の好機で打順が回った聖光学院の伊藤遥喜(3年)は、相手エースの速球中心の投球にファウルで粘り続けた。10球目、内角の直球を引っ張り右前適時打で先制点を挙げた。「打球が前に飛ばず戸惑ったが、粘ったおかげで当てられた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 チームは相手エースの速球対策として準決勝の2日前から、時速150キロの球が飛ぶ打撃マシンを打席から10メートルの近距離に設置し練習してきた。伊藤は、あまりの球速に「目慣らしだけでもいいかな...」と弱気になったが、次第に当てられることに気づいたという。

 前回の日大東北戦まで打率7割超えで、この日も先制打を放ち好調を維持する伊藤。「決勝にも心と体を準備して臨む」と意気込んだ。

 昌平エース、見せた成長の149キロ

 東日大昌平の先発草野陽斗(はると)(3年)は3回途中まで投げ、5安打5失点。「球速もあり調子は良かったが、聖光打線の方が一枚上手だった」と唇をかんだ。

 初回は持ち味の直球などで三者凡退に仕留めた。スコアボードには球速「149キロ」の表示。「聖光には直球だけでは通用しない」と、2回からは変化球を織り交ぜ、打たせて取る投球に切り替えた。しかし、相手打線につかまり5失点で降板した。

 「福島を代表するエースになれ」。入学直後に伊藤博康監督からかけられた言葉を胸に努力を重ねてきた。

 入学時の球速は132キロ台だったが、遠投などで肩を強化し、現在では最速151キロまで伸びた。

 昨秋に右肘を負傷したエース鈴木飛呂夢(同)に代わり、「背番号1」を付けて臨んだ最後の夏。今後、プロ志望届を提出するつもりだ。「悔しい思いはもうしたくない」とさらなる努力を誓った。

おすすめPickup!ニュースの『玉手箱』

過密日程でも「攻撃の質上げる」 いわきFC、28日アウェーで栃木戦