聖光学院ナイン...潔く『聖地』去る 歩みに自信、最後は涙なし

 
グラウンドに向かいあいさつする清水主将(左)ら聖光学院ナイン=12日、甲子園

 夏の甲子園2回戦で海星(長崎)に2―3で惜敗した聖光学院。敗れはしたが、「弱い」と言われ続けたナインが憧れの舞台ではつらつとしたプレーを見せた。「ここまで来られたことは自分たちにとって財産」。無念の結果でも、表情は潔かった。

 9回、ネクストバッターズサークルで最後の場面を見届けた主将清水正義(3年)は一息つき、あいさつの列に加わった。今春の2度の敗戦時、そして福島大会決勝で泣いていた主将の目に涙はなかった。「最後の最後まで涙で終わりたくなかった。それに泣いたら(最後の打者になった)西牧を支えられないから」。自分を支えてくれた仲間たちの肩を抱き、明るく声を掛けた。

 試合は聖光にとって今夏初めて先制を許す展開。ナインは動じることなく、投手の須藤翔(3年)を中心にピンチでも最少失点で切り抜けた。ただ打線は相手投手の動く直球に苦しみ、荒牧樹(同)の2本塁打で食い下がったが、最後までつながりを欠いた。斎藤智也監督は「弱小からはい上がったチーム。(結果を)素直に受け入れるしかない」と振り返った。

 剛腕の投手がいるわけではない。ホームランバッターもいない。派手さはなくても、泥くさく勝ち上がり、聖地で本県代表として戦った。「躍動」とまではいかなかったが、やることはやってきた。自分たちのこれまでの歩みには自信を持っている。悔しさはあるが「これが聖光学院の実力だと受け入れるしかない」。清水は言い切った。

 ただ、心残りがある。初戦敗退は2年連続。清水の口からは「聖光は甲子園ですぐ負けると言われるのを打破したかった」とも。精悍(せいかん)な顔つきの中に、少しだけ悔しさをにじませた。

 【8月12日の聖光学院・試合結果】全国高校野球選手権大会

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