【福島県小選挙区・候補者の略歴、政見】衆院選、決意の第一声

 

 19日に公示された第49回衆院選で、県内5小選挙区に立候補した10人は選挙事務所前や市街地などで第一声を放ち、舌戦をスタートした。第一声で各候補者はマスクを着けたり距離を取ったりと感染症対策を取りながら、震災、原発事故からの復興、新型コロナ対策などについて自身の政策や政党の公約などを訴えた。(各小選挙区は上から届け出順。敬称略)

 ◆1区(立候補2)

 【金子 恵美 56 立 前】 経済回し困窮者支援

 福島市のJR福島駅前で第一声を放ち「新型コロナウイルス対策を議論するための臨時国会が開かれず本当につらかった」と現政権を批判した。感染症対策については「封じ込め」の重要性を強調した上で「経済も回し、困窮者の支援に取り組む」と語った。また、現状での処理水海洋放出方針への反対も表明し「もう一回しっかりとした議論が必要だ」と力を込めた。
 【略歴】福島大大学院教育学研究科修了。衆院2期。党東日本大震災復興本部事務局長、党県連代表。参院1期、復興政務官。伊達市
 【政見】コロナ禍で疲弊した国民の生活を守る。福島の復興・創生。ALPS処理水海洋放出反対。農林水産業の再生。社会保障制度の充実

 【亀岡 偉民 66 自 前】 V字回復で明るい光

 福島市の中心市街地で第一声。「私は将棋の駒でいえば『歩』。一歩一歩進んで力を付けて恩返ししてきた。『と金』になってより力を発揮したい。福島は度重なる災害やコロナ禍で苦境にあるが、皆さんにV字回復という明るい光を見せるため働かせてほしい」と訴えた。本県復興に向け「子どもたちが福島で生まれて良かったと思える古里にしたい」と決意を述べた。
 【略歴】早大教育卒。衆院4期。復興副大臣、文科・内閣府副大臣、衆院文科委員長、内閣府・復興政務官、早大野球部助監督。福島市
 【政見】新型コロナ感染症から国民の暮らしを守る。ステージに合わせた復興・創生。農業支援と観光業の発展、中小企業の底上げ

 ◆2区(立候補2)

 【馬場 雄基 29 立 新】 暮らし良くする闘い

 「今を変え、未来をつくるために前進していく」と郡山市のJR郡山駅前で第一声を放った。コロナ下で強いられた国民の我慢に政治が応えておらず、株価の上昇にも実感は伴わないとして、「一人一人の暮らしを良くするために闘い抜く」と刷新の必要性を繰り返した。東日本大震災からの復興を巡っては「山積する課題のつけを後世に残してはいけない」と強調した。
 【略歴】慶大法卒。政党役員。地域活動支援団体職員、アオウゼ事業統括コーディネーター、松下政経塾38期生、三井住友信託銀行勤務。郡山市
 【政見】現地現場からつくる政策。医療・経済対策による新型コロナ対応。防災の技術革新。子育てや格差是正の支援。全世代型社会保障

 【根本  匠 70 自 前】 再エネ推進取り組む

 郡山市の事務所前で第一声を放ち「私の手で福島の真の復興を成し遂げたい」と声を張り上げた。復興相時代の子どもの生活支援など実績を強調し、再生可能エネルギーの推進や中小企業の活性化などに取り組む考えを示した。「皆さんの声に丁寧に耳を傾けて政策を作り実現する、政策本位の政治を一貫してやってきた。地元の福島から日本を動かしていく」と訴えた。
 【略歴】東大経済卒。衆院8期。党中小企業・小規模事業者政策調査会長、復興加速化本部長代行。厚労相、復興相、衆院復興特別委員長。郡山市
 【政見】真の復興を実現。コロナ後を描く。風評を払拭、福島の魅力やおいしさを発信。中小事業者を守ることはこの国を守ること

 ◆3区(立候補2)

 【上杉謙太郎 46 自 前】 交通網整備を進める

 須賀川市の事務所前で第一声。「自公政権、岸田内閣の信を問う選挙。連立政権の政策の良さをお伝えしたい」と強調した。「国道4号をはじめ道路や交通網の整備を進めていきたい。コメの価格が下がる中、肥料の支援など生産者が来年度もコメを作れるような施策を考えたい」と決意を述べた。「皆さんと一緒に戦い、小選挙区で勝たせていただきたい」と訴えた。
 【略歴】早大社会科学卒。衆院1期。外務政務官。白河市
 【政見】県産農林水産品の輸出推進。阿武隈川流域の治水対策。国道4号片側2車線化。福島空港の国際物流拠点構想

 【玄葉光一郎 57 立 前】 医療現場支援は重要

 須賀川市の中心市街地で第一声。「コロナや災害から住民を守り抜くのが国会議員の使命だ」と決意を示した。コロナ下の重要施策として、医療現場支援や米価対策を提示。「政権交代をして政治に緊張感をもたらしたい。投票率を上げることが政治のレベルを上げることになる」と強調し、「(10選を目指す)節目の選挙になるので思いを込めて戦いたい」と訴えた。
 【略歴】上智大法卒。衆院9期。党副代表、党東日本大震災復興本部長。外相、国家戦略担当相、民主党政調会長。田村市
 【政見】新型コロナや災害から住民の命を守る。国の買い上げによる米価対策。政権交代のある政治実現。子育て支援の充実

 ◆4区(立候補2)

 【小熊 慎司 53 立 前】 一極集中解消し発展

 会津若松市の商業施設駐車場で第一声を放ち「長期政権の中でゆがんだ政治を正さなければならない」と決意を示した。「デジタル化を担う技術者の育成に国を挙げ取り組む必要がある」と指摘し、会津大がある会津地方や都市部に近い西郷村に研究所を誘致する考えを表明。「一極集中を解消し、地方の発展につなげる。持続可能な未来に向け、前へ進む」と力を込めた。
 【略歴】専大法卒。衆院3期。参院1期、県議2期、会津若松市議1期、衆院議員秘書。会津若松市
 【政見】誰もが暮らして良かったと思える地域をつくる。適正な分配の好循環により暮らしと経済を守る。農業者戸別所得補償で米価などの安定化を図る

 【菅家 一郎 66 自 前】 若い世代に夢と希望

 会津若松市の事務所前で第一声を放った。「少子高齢化など深刻な課題が山積している。若い世代が夢と希望を持って地元で働き、子育てができる環境が大切」と主張。与党と市町村のパイプ役を務めてきたと強調し「これからも厳しい環境が続く中で、自分が身を引くわけにはいかない。会津、西郷を任されているのは私だ。この地域の生活を守っていく」と支持を訴えた。
 【略歴】早大社会科学卒。衆院3期。佐川官兵衛顕彰会長、県ボクシング連盟会長。復興副大臣、会津若松市長3期、県議1期、市議1期。会津若松市
 【政見】抗原検査キットを活用したコロナ対策。郡山―新潟間ミニ新幹線構想実現。災害対策。子育て、介護、医療充実。復興と創生。再エネ普及

 ◆5区(立候補2)

 【熊谷  智 42 共 新】 本当に福島寄り添う

 いわき市の事務所前で第一声。「国民の声を聞かない自公政権のままか、民主主義を守る新しい政治かを問う選挙」と呼び掛けた。「自民党は雇用、社会保障、年金を削り、私たちの生活を立ちゆかないものにした」と批判。「命と暮らしを守る、まともな経済政策を私に託してほしい」と訴えた。「本当に福島に寄り添う政治をつくる。全国をあっと言わせたい」と述べた。
 【略歴】福島介護福祉専門学校卒。党いわき・双葉地区委員長。党県議団事務局長、県民主医療機関連合会事務局員。いわき市
 【政見】原発ゼロ。原発処理水の海洋放出撤回。医療体制の抜本的改革。PCR検査体制強化。核兵器禁止条約批准。ジェンダー平等実現

 【吉野 正芳 73 自 前】 新しい産業創り出す

 「8期目の国政の壇上では何としても双葉郡への国際教育拠点整備を実現したい」といわき市の事務所前で第一声を放った。廃炉や農業など5分野の研究を進める同拠点の詳細な枠組みが選挙後に示される方針を示しながら、「世界に羽ばたく新しい産業を創り出す」と強調。その上で、復興の完遂や地域発展に向けて「双葉郡、いわきのために力を尽くしたい」と誓った。
 【略歴】早大商卒。衆院7期。党東日本大震災復興加速化本部長代理。衆院農水委員長、復興相、環境副大臣、文科政務官。いわき市
 【政見】福島イノベーション・コースト構想推進と国際教育研究拠点の実現。風評対策と産地競争力強化。新型コロナウイルス感染対策徹底