浪江の復興拠点、3月31日解除 政府と県、町が合意

 

 浪江町は1日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、町内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)について、31日午前10時に避難指示を解除すると発表した。解除されるのは室原、末森、津島の3地区の一部に設けられた計約6.6平方キロに加え、国の伝統的工芸品「大堀相馬焼」を保全するため設定された大堀地区の陶芸の杜おおぼりや各窯元など。

 政府、県、町が1日に協議し、放射線量やインフラの状況、住民との協議など解除の要件を満たしたとして合意した。吉田栄光町長は町役場で開いた記者会見で「今回の解除は浪江の新たなスタート。先人が築いてきた浪江町を取り戻していきたい」と語った。今後、政府の原子力災害対策本部(本部長・岸田文雄首相)が正式決定する。

 復興拠点の住民登録は1月1日時点で329世帯897人。昨年9月に始まった準備宿泊には10世帯20人が参加登録した。町は解除から5年後の居住人口について約1500人を目標としている。復興拠点から外れた地域の住民登録は690世帯1722人。

 原発事故に伴い全町避難が続いた町では2017年3月31日、JR浪江駅前など町中心部の居住制限、避難指示解除準備の各区域で避難指示が解除された。

 復興拠点は県内6町村に設けられ、葛尾、大熊、双葉の3町村は昨年6~8月に解除された。残る富岡町と飯舘村は今春の解除を目指している。