福島大、避難所の記憶刻む 広場整備「学生に伝承していく」

 
広場を除幕した(左から)堀川ヤイ子さん、新谷名誉教授、八橋さん、三浦学長

 東日本大震災時に大学敷地内の第1体育館と合宿研修所に避難所を開設した福島大は、避難者から寄贈されたキンモクセイとシダレザクラを敷地内に植樹し、記念樹メモリアルスクエアとして整備した。20日、現地で披露式が行われた。

 寄贈者はキンモクセイが富岡町から避難していた堀川潔さんで、シダレザクラが葛尾村から身を寄せていた八橋広美さん。シダレザクラは三春町の滝桜の子孫木になるという。

 披露式では三浦浩喜学長が「末永くこれからの学生たちにも伝承していく」とあいさつ。三浦学長、堀川さんの妻ヤイ子さん、八橋さん、当時の同大副学長で避難所責任者だった新谷崇一同大名誉教授が除幕した。八橋さんは「サクラの苗木が大きくなっていてびっくりした」と笑顔を見せた。

 同大は震災直後の2011年3月17日~4月30日に避難所を開設し、最大約250人が避難した。大学を避難所としたケースは戦後災害としては同大が初めてだった。当時、学生ボランティアとして避難所運営に携わった伊藤航さんも出席し、「避難した方から『日本一の避難所だった』と言われてうれしかった」と振り返った。